途上国との溝鮮明に=米欧、温暖化対策に停滞感―COP29
【バクー時事】アゼルバイジャンの首都バクーで開かれている国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は、途上国向け資金の新たな目標で合意できるかが焦点だ。しかし、13日まで行われた首脳級会合では、停滞感が漂う米欧諸国と、大幅な増額を求める途上国との溝が鮮明になった。
「自分たちが引き起こした危機ではない上に、自分たちでは解決できないという不当な事態に直面している」。カリブ海に面するスリナムのサントキ大統領はいらだちをあらわにした。カリブ海諸国の総排出量は全体の1%未満なのに、海面上昇などで「存続の危機」にひんしていると訴えた。
途上国の間には、温室効果ガスを長年排出してきた先進国のつけを払わされているとの不満がうずまいている。合意に向けた交渉は難航しており、オセアニアの島国ニウエのタンゲランギ首相は、「本当に団結して取り組む決意があるのか」と問い掛けた。
英国のスターマー首相は温室ガス排出を2035年までに1990年比で81%削減する目標を掲げ、他国にも野心的な目標を示すよう求めた。ただ欧州連合(EU)の首脳らからは、煮え切らない発言が相次いだ。
イタリアのメローニ首相は「思想信条に基づくやり方では成功への道から外れかねない」と主張。チェコのフィアラ首相は「あまりに大きな目標を掲げてもうまくいかないだろう」と指摘した。EUは脱炭素化を推し進めてきたが、市民の反発が強まっており、見直しを迫られている。
米国で気候問題を担当するポデスタ大統領上級顧問は、トランプ次期大統領が温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から再び脱退し、バイデン政権が進めた対策をひっくり返そうとするだろうと述べた。カリブ海の島国バハマのデイビス首相は、「(気候変動との闘いは)選挙のたびに書き換えられるような闘いではない」と批判した。
[時事通信社]
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