「編み物王子」が初個展=元飛び込みのデーリーさん
水泳の飛び込みで活躍したトーマス・デーリーさん(30)=英国=が、ニット作家として初の個展「Made with Love by Tom Daley」を東京都渋谷区で開催している。このほど来日し、「僕自身の編み物の旅が始まった場所に戻ってきて、皆さんに作品を紹介できることを誇りに思う」と話した。
デーリーさんは五輪に5大会連続で出場し、メダル5個を獲得。男子シンクロ高飛び込みで金に輝いた2021年東京五輪の際、プールサイドでニットを編んでいる姿が「編み物王子」として一躍注目を浴びた。今夏のパリ五輪後に引退を表明。アーティストとしての新たなスタートが、思い出の場所からとなった。
「編み物は自分自身を最大限に引き出してくれるもの」。編み物との出会いは20年春。コロナ禍のロックダウンで、十分な練習ができずストレスを感じていたときだった。「すぐに夢中になった。心に安らぎを感じられた」と振り返る。
趣味で始めた編み物の世界に魅了され、自身のニットブランドができるまでになった。店頭で買うことができないものを自身の手でつくることに魅力を感じている。
個展ではこれまで制作した数多くのニットの中から、特にお気に入りの作品約20点を選んで展示。会場は、作品をつくる際の安らいだ感情から競技に臨む際の緊張感まで、デーリーさんの心象風景を表現した空間にしたという。
私生活では同性パートナーとの子育ての様子を公表し、多様性を尊重するアイコン的な存在でもある。一つとして同じものが存在しない作品を通し、自分らしさや人生における選択の自由を伝えようともしている。個展は今月25日まで開催。ニット作品の数々が、見る者の心を温める。
[時事通信社]
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