「核廃絶への国際理解広めた」=ノーベル平和賞決定の日本被団協―ICAN川崎氏らに聞く
被爆者でつくる唯一の全国組織、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授賞が決定してから11日で1カ月となる。日本被団協と共に核兵器廃絶を目指してきた人らに功績や意義を聞いた。
「自身の体験を繰り返し証言し、最も説得力を持って『核兵器は廃絶しなければならない』ということへの国際的な理解を広めてきた」。2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲・国際運営委員(55)は、日本被団協が果たしてきた役割をこう説明する。
川崎氏は1998年ごろから、被団協の役員が国際会議で証言する際などに協働してきた。「あらゆる核に関する会議で、相手が保有国代表でも臆せずに必ず発言してきた。草の根の証言活動の重要性が授賞理由の核にある」と話す。
授賞決定が今年になった背景には、ウクライナやパレスチナ自治区ガザなど核の脅威が高まっている情勢があると分析した。ICANが受賞によって影響力が増した経験を踏まえ、「被爆者の平均年齢は85歳を超えており、活動には限界がある。もう少し早ければ」とも語る。
ノルウェー・ノーベル賞委員会が授賞理由の中で、「日本の若い世代は経験を継承している」と指摘したことについて、「問われるのは次の世代で、若い世代に頑張るよう言っている」と受け止めたという。
川崎氏は、被団協と共に12月に同国の首都オスロで行われる授賞式に参加する。「改めて核の非人道性を伝え、核兵器禁止条約への参加国を拡大していきたい。日本政府に対しても、少なくとも批准を目指す方向に持って行く」と力を込めた。
77年ごろから法律相談などで被団協の活動に携わってきた内藤雅義弁護士(74)は「被爆者は、放射線障害による自身や家族の死への恐怖や、自分だけ生き延びた、という罪悪感を抱えて生きてきた」と話す。家庭崩壊や貧困などに追い込まれた人が多く、被爆当時を思い出すと嘔吐(おうと)してしまう相談者もいたという。
「トラウマや差別、偏見もある中で『再び被爆者をつくってはならない』と語り続けてきた」と日本被団協の活動をたたえた内藤氏。「核戦争が起きる危険もあり、もう一度、被爆体験に目を向けるべきだ」と強調した。
[時事通信社]
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