「再起動」で問われる実効性=東京一極集中、人口減止まらず―地方創生
石破政権が看板政策に掲げる地方創生を巡り、政府の新本部での議論がスタートした。過去10年間目標としてきた東京一極集中の是正は進まず、地方の人口減少には歯止めがかかっていない。石破茂首相は「地方創生2.0を起動させる」と意気込むが、その実効性が問われている。
国は2014年に地方創生の取り組みを本格化させ、東京圏の転入超過を解消するなどの目標を盛り込んだ総合戦略を策定。自治体向けの交付金や、企業の地方移転を促す税制を創設した。自治体も独自の総合戦略を作り、移住の促進や産業振興を進めてきた。
この間、政府機関の地方分散の一環で文化庁の京都移転が実現。一部の自治体では移住者の増加で人口増に成功した事例もある。ただ、若者が進学や就職を機に上京する構図は変わっていない。東京圏の転入超過数は、コロナ禍で一時減少したものの、経済社会活動が回復した23年は約11万5000人まで増え、14年の水準を上回った。
民間有識者でつくる「人口戦略会議」は今年4月、50年までに全国744自治体で若年女性人口が半減し、将来消滅する可能性があるとの報告書を公表。国や自治体の人口減少対策の現状に警鐘を鳴らした。
首相は8日の本部会合で、「これまでの10年間の成果と反省を生かさなくてはいけない」と強調。各地の事例を分析し、交付金を倍増して優れた取り組みを全国に普及させる考えを示したが、状況を好転させられるかは不透明だ。政府には踏み込んだ対応が求められる。
[時事通信社]
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