得票総数でも上回る圧勝=2期目はブレーキ役不在―トランプ氏「かつてない権限」・米大統領選
【ワシントン時事】共和党のトランプ前米大統領は5日の大統領選で、激戦州を制した上で、選挙人のみならず一般得票総数でも民主党のハリス副大統領を上回って圧勝するとみられている。共和党は既に議会上院を掌握し、開票が進む下院も制すれば、トランプ氏を阻む壁はほぼなくなる。2期目は「かつてない強力な権限」(同氏)を得ることになる。
◇起訴取り下げ
トランプ氏は6日、バイデン大統領とハリス氏から祝福の電話を受けた。バイデン氏は「円滑な政権移行」を約束。トランプ氏が退任を拒んだ2020年とは異なり、移行手続きは比較的スムーズに進みそうだ。
得票総数で共和党が民主党を上回るのは、04年のブッシュ(子)大統領以来20年ぶり。圧倒的勝利に、歴代大統領も「祝意を表したい」(オバマ氏)とメッセージを寄せた。
大統領選と並行し、トランプ氏は4件の刑事裁判に直面した。このうち20年大統領選の結果を覆そうとした事件と、機密文書の不正保管事件の2件を担当するスミス特別検察官は6日、司法省と協議を開始。米国では現職大統領を刑事訴追しない慣行があり、米メディアによると起訴取り下げが検討されている。
◇三権全てを「掌握」
当選すれば「初日だけ独裁者になる」と述べたトランプ氏。就任後は「史上最大の移民送還作戦」や教育政策の見直しなどの公約実現にまい進するとみられる。
共和党が上院の過半数を確保したことで、議会承認が必要な人事は進めやすくなった。また、仮に下院で弾劾訴追されても、上院の弾劾裁判で有罪となる可能性は低い。共和党内の「反トランプ派」も弱体化が進む。
1期目では議会審議を必要としない大統領令による政策実現を好んだが、連邦最高裁がその障壁となることがあった。しかしリベラル派判事の死去などに伴い、トランプ氏が保守派判事を任命したことで、最高裁の「右傾化」が進行。2期目でもブレーキ役を果たすかは微妙だ。
実際に最高裁は今年7月、在職中の「公的行為」に関する大統領の不起訴特権を認めるなど、トランプ氏に有利な判断を下した。司法、立法、行政の三権全てで、同氏が意のままに振る舞う環境が整った形だ。
[時事通信社]
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