高関税、取引材料に=移民問題でも活用か―トランプ氏
【ワシントン時事】返り咲きが決まったトランプ前米大統領は、前回在任時、高関税を材料に他国に譲歩を迫る「ディール(取引)」を得意としてきた。今回の選挙戦では、争点となった不法移民問題に対応するようメキシコに求め、応じない場合は高関税を課す方針を表明。産業保護などの経済政策だけでなく、外交でも関税を利用することを示唆している。
「辞書の中で最も美しい言葉は、関税だ」。トランプ氏は選挙戦でこう語り、関税をフル活用する考えを示してきた。
前政権時代には、高関税を交渉カードに使い、日本などとの通商交渉を優位に進めた。中国に対しては実際に幅広い品目に追加関税を課し、一部の関税撤回と引き換えに、中国による米産品の輸入拡大などの譲歩を引き出した。
4日の選挙集会では、メキシコが不法移民や麻薬への対策を講じない場合、同国からの輸入品に25%の追加関税を課すと説明。「対策が機能しなければ、50%、75%、そして100%にする」と強調し、高関税を「脅し」に使う考えを披露した。これとは別に、米産業保護のため、メキシコ製自動車に「200%超の関税を課す」とも表明している。
ただ、こうした高関税は輸入品価格に転嫁され、物価上昇の形で米国民に跳ね返ってくるとの指摘が多い。トランプ氏が掲げる60%の対中追加関税や、全輸入品への10~20%関税は、実際に発動すれば、自国経済に打撃を与えかねない危うさがある。
[時事通信社]
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