大容量高速通信で現代戦対応=3基態勢完成、広範囲カバー―通信衛星「きらめき」・防衛省
H3ロケット4号機で打ち上げられた防衛通信衛星「きらめき3号」は現代戦に不可欠な高速大容量の通信が可能で、主に陸海空各自衛隊を統合した指揮運用に用いられる。自衛隊幹部は「増大する通信需要や自衛隊の活動地域の拡大に対応でき、作戦上極めて有用だ」と期待を寄せる。
自衛隊の衛星通信は従来、民間の商用衛星に「間借り」しており、容量の制約から音声や文字中心のやりとりしかできなかった。きらめきはその解消のために計画され、1、2号機を2017~18年に打ち上げ。3号機は当初予定の22年から遅れていたが、今回の成功で防衛省が計画していた3基態勢が完成する。
きらめきが使う「Xバンド」という周波数帯は気象の影響を受けにくく、各国も軍事利用している。高速大容量通信が可能で、同省担当者は「災害現場の映像や衛星画像、レーダー情報なども即時共有できる。高度な通信は生命線だ」と話す。
3基態勢が整うことで、太平洋からインド洋に及ぶ自衛隊の主な活動地域をカバーし、よりつながりやすくなる。各自衛隊が民間衛星を契約していた状況が解消され、統合幕僚監部の一元運用になることでセキュリティーが向上。陸海空部隊を横断した通信の振り分けも可能になるという。3号機は性能テストなどを経て、今年度中に運用開始の予定だ。
安全保障における宇宙空間の重要性は年々高まっており、防衛省は25年度予算の概算要求にきらめき後継機の関連費を計上した。空自の人員を倍増させ、「宇宙作戦団」を創設する。26年度には空自がスペースデブリ(宇宙ごみ)の接近や衛星への妨害行為を見張る宇宙監視衛星の打ち上げを目指しており、空自から「航空宇宙自衛隊」への名称変更に向け、一層の整備を進める。
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