初めて被害訴えた女性が和解=活動20年以上、強制不妊訴訟―仙台高裁
旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたとして、宮城県内に住む飯塚淳子さん(仮名、70代)が国に賠償を求めた訴訟は31日、仙台高裁(倉沢守春裁判長)で和解が成立した。飯塚さんは初めて被害を訴え、20年以上、国に補償を求めてきた原告。
和解後、仙台市内で開いた記者会見で、飯塚さんは「声を上げて27年、本当に長かった。裁判は6年とちょっと。もっと早く国から(謝罪の言葉を)言ってほしかった」とこれまでを振り返り、「周りに(障害者を)理解しない人もいる。本当にこれからは二度と差別のない社会であってほしい」と求めた。
原告側弁護団によると、和解内容には9月13日に締結された合意書を踏まえ、国からの謝罪や1500万円の慰謝料を基本として、遅延損害金を含めた和解金を支払うことが盛り込まれた。新里宏二弁護団長は会見で「飯塚さんの粘り強い被害の訴えが世の中を変えてきた。素晴らしい闘いをした」と述べた。
一連の訴訟では最高裁大法廷が7月、同法の規定を違憲として国の賠償責任を認定。5件の訴訟のうち4件は原告側勝訴が確定したが、飯塚さんらを敗訴とした仙台高裁判決は破棄され、損害額算定のため同高裁に差し戻されていた。
飯塚さんは16歳の時に何も知らされずに手術を強制された。1997年に県に手術記録の情報公開請求を行ったものの回答は「不存在」。証拠資料がなく提訴できなかったが、国に謝罪や補償を求め続けた。2018年1月、別の県内女性が初提訴した後、飯塚さんも、手術が行われたと県知事が認めたことで、同年5月に提訴した。
[時事通信社]
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