「偽装非公認」最終盤で焦点=石破首相、報道に責任転嫁―野党批判、強まる逆風【24衆院選】
衆院選は27日の投開票を控え、自民党の派閥裏金事件で非公認となった候補側へ、党本部が活動費を支給したことに、野党の批判が集中しつつある。「偽装非公認」との指摘も出る中、石破茂首相(自民総裁)はあくまで党支部に充てたものだと主張。ただ、報道に責任を転嫁するなど説明には苦しさがにじむ。党内からも執行部の対応を疑問視する声が続出。逆風は一段と強まっている。
「候補者にカネなど出してはいない。政党支部に出している」。24日、広島市の街頭演説で初めてこの問題に触れた首相は、非公認候補に対する選挙資金の提供ではないとの認識を強調。「報道に負けるわけにはいかない」とあたかも事実がゆがめられたかのように振る舞った。
自民は同日、一連の経緯を説明した文書を公表した。それによると(1)10日付で公認候補の党支部に公認料500万円、活動費1500万円の計2000万円(2)衆院選の公示直後の16日付で非公認候補の党支部に同額の活動費2000万円―をそれぞれ支給。「党勢拡大」に充てるもので、非公認候補の選挙運動に「使うことはできない」と明記した。
非公認候補への対応を巡り、首相は「甘いとかいいかげんとは一切考えていない」と繰り返してきた。しかし、実質的に公認料を含む活動費を支出したことが明らかになり、従来の主張は破綻気味だ。
党支部による「党勢拡大」が、非公認候補への支援を含む可能性は否定できない。「説明になっていない」「こんな内容なら出さないほうがましだった」。文書を読んだ党関係者は口々に不満を漏らした。
立憲民主党の野田佳彦代表は24日、横浜市で記者団に「どう見ても『裏公認料』だ」と重ねて批判。報道に矛先を向けた首相の対応も「本当に駄目だ。反省がない」と断じた。
日本維新の会の馬場伸幸代表は記者会見で「首相に対する期待は急速にしぼんでいる」とこき下ろした。共産党の田村智子委員長は松山市の街頭演説で「党勢拡大は選挙活動そのものだ」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表も広島市で「子どもの言い訳が通じると思うのか」と切り捨てた。
自民内でも「全国に波及し、急速に支持を落としている」(中堅)と衆院選への危機感が強まっている。「首相指名選挙もどうなるか分からない」。党関係者は与党過半数割れの可能性を念頭に、選挙後も緊迫した状況が続くとの見方を示した。
[時事通信社]
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