マクロン氏のイスラエル建国は国連のおかげ発言、仏上院議長が批判
【パリAFP=時事】フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、イスラエルは国連のパレスチナ分割決議によって建国されたことを「忘れてはならない」と述べたことについて、仏上院のジェラール・ラルシェ議長は17日、この発言に「がくぜん」としたと述べ、マクロン氏は歴史に「無知」だと非難した。≪写真はジェラール・ラルシェ上院議長≫
マクロン氏の発言はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の猛反発を招き、フランスとイスラエルの間で緊張が高まった他、フランス国内のユダヤ人コミュニティーを困惑させた。
右派のラルシェ議長はラジオ局ヨーロッパ1に対し、「まず第一に、イスラエル国の建国の歴史に関して無知であることを露呈している」と指摘。
「イスラエルの存在に疑問を呈することは、私にとって根本的な問題に触れるものだ」「このような発言がなされたことに、がくぜんとした」と続け、「(イスラエル建国は)単に国連に正当性を認められた公証行為ではない」と主張した。
フランス憲法上で上院議長は大統領に次ぐナンバー2とされ、中道派のマクロン大統領が職務を遂行できなくなったり突然辞任したりした場合には、ラルシェ氏が大統領職を引き継ぐ。同氏は、ミシェル・バルニエ首相も所属する右派共和党の重鎮でもある。
レバノン南部に展開する国連レバノン暫定軍に対するイスラエル軍の攻撃をめぐって懸念が高まる中、マクロン氏は15日の閣議で、1947年11月の国連総会で採択された、パレスチナをユダヤ人とアラブ人の2国に分けるパレスチナ分割決議に言及し、「ネタニヤフ氏は、自国が国連の決定に基づき建国されたことを忘れてはならない」と指摘。「今は国連の決定を無視している場合ではない」と述べた。
閣議は非公開だったが、出席者のうち2人が匿名を条件に、マクロン氏の発言をAFPに明かした。
ラルシェ議長は、マクロン氏が1917年の「バルフォア宣言」や、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)とその結果を十分考慮していないのではないかと疑問を呈した。
バルフォア宣言は、1917年に当時英外相だったアーサー・バルフォアが、著名な英国のシオニストであるライオネル・ロスチャイルドに宛てて送った、パレスチナ人の土地にユダヤ人の祖国建設を認める67語の書簡。
マクロン氏の発言に対しネタニヤフ氏は、「イスラエルは国連決議に基づいて建国されたのではなく、独立戦争(1948年の第1次中東戦争)で英雄たちが血を流して得られた勝利の結果だ。英雄たちの多くはホロコーストの生き残りであり、中には仏ビシー政権(の迫害)から逃れたフランス系ユダヤ人もいたことを、フランス大統領は思い出してほしい」と反論した。
ビシー政権は第2次世界大戦中、ナチス・ドイツ占領下にあったフランスの大部分を統治。ナチスに協力してユダヤ人狩りを行い、強制収容所に送った。
ネタニヤフ氏は17日にも、仏紙フィガロとのインタビューで、マクロン氏が歴史を「ひどく歪曲(わいきょく)、無視している」と批判した。【翻訳編集AFPBBNews】
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