豊田会長、思い赤裸々に=本音ぶつけたハース代表―F1
トヨタにとって撤退した2009年以来、15年ぶりのF1参画が始まる。豊田章男会長(68)らが11日、静岡県小山町で記者会見し、「TOYOTA GAZOO Racing(TGR)」が、F1参戦9年目のハースと車両開発や若手ドライバーの人材育成などで業務提携することを発表した。この場で豊田氏は胸にしまい込んでいた思いを吐露した。
「私は社長の時にF1をやめた人。当時はもっといい車をつくろうよ、ではなく、もっと大きな会社をつくろうよ、というトヨタ自動車があったような気がする。売上高とか利益とか。その中で、ああいう活動(F1)があまり適さないということを社長として判断した」
金融危機に端を発した赤字経営からの脱却の道筋で撤退を決めた。その後、業績を回復軌道に乗せて昨春、会長に就いた。「トヨタの社長としてF1撤退の決断は間違っていなかったと今でも思う」。経営者としての信念はぶれなかった。
そんな「世界のトヨタ」の提携先は、米国拠点のハース。今季からエンジニア出身の小松礼雄氏(48)が代表として率いる。
6月のF1カナダ・グランプリ(GP)の前、両者は東京で初めて会った。小松氏は「F1文化をつくっていかないといけないのに、何でやめるのか。日本のメーカーはF1を行ったり来たりしている。そういうのは本当にやめてほしい」などと本音をぶつけた。
そんなやりとりを経て、二人は初対面で打ち解けた。小松氏は「情熱のある方。日本の若い人に夢を与えていきたいという思いがにじみ出ていた。僕がやっていきたいことと、共感するものがあった」と振り返る。
この初会談で事実上、提携が決まった。20日決勝の米国GPから、ハースのマシンには「TGR」のロゴが躍る。
[時事通信社]
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