交付金倍増、機能移転をアピール=一極集中是正進まず―各党公約・地方創生【24衆院選】
人口減少の抑制や東京一極集中の是正を目指す「地方創生」。初代地方創生担当相を務めた石破茂首相の就任で改めて注目を集めている。しかし、この10年間の取り組みでも地方の人口減少に歯止めがかからず、疲弊が進む。衆院選で各党は交付金倍増や首都機能の一部移転、大幅な権限移譲などを打開策として打ち出している。
◇若者、女性が流出
政府や自治体による地方創生の取り組みが始まったのは2014年で、今年で10年を迎える。岸田前政権ではデジタル技術を活用して地域課題の解決に取り組む「デジタル田園都市国家構想」を推進。コロナ禍ではテレワークの普及などに伴って地方に転出する人が増え、一極集中は一時緩和の兆しもみられた。
しかし、経済社会活動の正常化とともに東京への人の流れが再び強まった。進学や就職で若年層が地方から流出し、特に女性が地方に戻らないことが主因だ。民間の有識者らでつくる「人口戦略会議」は4月、50年までに全国744自治体で20~30代の女性人口が半減し、将来消滅する可能性があると警鐘を鳴らした。
◇観光振興、分権推進も
石破首相は就任早々「この10年間の成果と反省を踏まえ、地方創生を再起動する」と意欲を示した。「地方創生2.0」を掲げ、毎年1000億円を確保している自治体向け交付金の倍増を目指すことなどを自民党の公約に盛り込んだ。
公明党は、地域活性化の観点から、「日本版ライドシェア」を活用した地域の足確保や、観光振興による地方への誘客を主張する。
一方、立憲民主党や国民民主党は、自治体の自主性を高める地方分権の推進を強調。具体策として、自治体への権限・財源の移譲を進め、使途の自由度が高い一括交付金の復活を訴えている。
日本維新の会は中央省庁など首都機能の一部移転を目指すと主張。共産党は中小企業の振興を通じた地域経済の再生を掲げた。
◇「大規模な政策転換を」
ただ、各党が掲げる政策は、これまで政府が取り組んできた施策が多く、新味や具体性に乏しい。政府は6月、地方創生10年間の取り組みについて「人口減少や一極集中の大きな流れを変えるには至っていない」と総括したが、自治体には「これからは結果をどう出すかに注目しなくてはいけない。国家的で大規模な政策転換が必要だ」(青森県の宮下宗一郎知事)との危機感が強い。
人口減少の流れに歯止めをかけ、女性や若者にとって魅力のある地域づくりを進めるため、より踏み込んだ対応が国には求められている。
[時事通信社]
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