経済公約、家計支援策ずらり=財源論置き去り、見えぬ成長戦略―衆院選【公約比較】
15日に公示された衆院選で、各党は当面の物価高対策をはじめとする経済政策を巡って論戦を交わす。自民、公明両党は補正予算編成をにらんで低所得世帯向け給付金や電気・ガス代補助を公約に明記。対する野党は消費税の減税を軸に家計を支援する姿勢を打ち出した。ただ、与野党ともに財源論は置き去りで、成長戦略も十分に描けているとは言い難い。
石破茂首相は公示後の第一声で、今月初めに策定を指示した総合経済対策に関し、昨年度の約13兆円を上回る補正予算案を編成する考えを表明した。「規模ありき」の景気対策と同様、自民の経済公約は従来の路線を踏襲。「石破カラー」は地方創生交付金の倍増など、ごくわずかにとどまる。先月の総裁選で首相が言及した金融所得課税強化や法人税増税は封印された。
物価高に苦しむ家計の支援策に関し、野党は消費税率の引き下げで足並みをそろえた。日本維新の会は「8%」、共産党と国民民主党は当面「5%」を主張。れいわ新選組は消費税廃止、社民党は税率3年間ゼロ、参政党も減税を訴える。立憲民主党は低所得者向けの年金上乗せを公約に盛り込んだ。いずれも可処分所得の増加が狙いだが、その財源はほとんどの政党が不明確だ。
最低賃金の引き上げについては、主要各党がおおむね一致した。公明は時給の全国平均を5年以内に1500円へ引き上げる目標を掲げた。立民と共産も1500円以上、国民は「全国どこでも1150円以上」をうたう。自民は首相が「2020年代に全国平均1500円」を掲げたが、公約は金額や時期を示さなかった。
金融政策で独自色を出したのが立民。日銀の物価安定目標を「2%」から「0%超」に変更し、政府・日銀が「実質賃金の上昇」を共同目標に位置付けると公約に明記した。ただ、デフレに逆戻りする印象を与えかねないとして波紋を広げている。
人口減少をはじめ、日本経済が直面する難題に対し、各党の成長戦略は「リスキリング(学び直し)推進」や「グリーン・デジタル投資」などと、新味に乏しい。日本総合研究所の石川智久調査部長は「日本経済がデフレから完全脱却し、財政再建も同時に進められるような経済政策の道筋」が示されるべきだと指摘している。
[時事通信社]
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