イスラエル軍、レバノン国連部隊の拠点侵入=ネタニヤフ首相、撤退要求
【カイロ時事】国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は13日、イスラエル軍の戦車2台が同日早朝にレバノン南部のUNIFIL拠点の正門を破壊し、敷地内に侵入したと発表した。この発表に先立ち、イスラエルのネタニヤフ首相はビデオ演説で、イスラム教シーア派組織ヒズボラと交戦するレバノン南部から、UNIFILを撤退させるようグテレス国連事務総長に求めていた。
UNIFILによると、侵入したイスラエル軍は拠点の照明を消すよう要求。UNIFIL側の抗議を受け、戦車は約45分後に立ち去ったという。UNIFILは声明で「国連の拠点への侵入は国際法違反だ」と強く非難した。
ネタニヤフ氏は、何度もUNIFILの撤退を求めてきたが拒否されたと主張。結果として国連はヒズボラに「人間の盾」を提供していると持論を展開した。イスラエル軍が先月末にレバノンに地上侵攻して以来、UNIFIL要員5人が負傷し、イスラエルへの国際社会の批判が高まっている。
米国防総省によると、オースティン国防長官が12日、イスラエルのガラント国防相と電話会談し、UNIFILの被害に深い懸念を表明。「軍事作戦から外交路線へと方針転換する必要性がある」と強調した。ガラント氏は「UNIFIL部隊への被害を避けるための措置を取り続ける」と応じたという。
イスラエル軍は13日、過去24時間で、ヒズボラに関連するレバノンの標的約200カ所に空爆を加えたと発表した。レバノンの国営メディアによると、イスラエル軍は南部のヒズボラ支配地域で市場やモスク(イスラム礼拝所)を空爆した。
一方、ロイター通信は13日、パレスチナ自治区ガザ住民の話として、イスラエル軍の戦車が北部ガザ市北端に到達したと報じた。国連によると、軍は北部地域に40万人以上を対象とした避難勧告を出している。しかし、軍の攻撃で住民の多くが身動きを取れなくなっているとも伝えられている。
[時事通信社]
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