セブン、買収提案に危機感=祖業ヨーカ堂の分離前倒し
買収の危機にさらされているセブン&アイ・ホールディングスが、祖業イトーヨーカ堂の分離計画を前倒しする決断を下した。経営の重荷だったスーパー事業を早期に切り離して株価を上げ、買収から身を守るのが狙いだとみられる。「セブン―イレブン」1号店のオープンから半世紀の節目に、巨大流通グループが大きな転機を迎えた。
セブン&アイは今年4月、スーパー事業を2026年2月期までに黒字化し、27年以降の株式上場を目指すと発表。「物言う株主」に長年突き付けられてきた非コンビニエンスストア事業の分離という課題に、ようやくめどを付けた。
しかし、今年7月にカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから約6兆円で買収したいと提案され、事態は一変した。9月上旬に拒否したが、すぐさま買収額を7兆円規模に引き上げた再提案が届いた。
買収を繰り返して世界有数のコンビニチェーンに成長したアリマンタシォンは、米国の店舗数がセブン&アイに次ぐ2位。買収によって全米首位の座を目指しているとみられる。
追い詰められつつあるセブン&アイは、一刻も早く企業価値を向上させ、買収額算定の基準となる時価総額を膨らませる必要があると判断。実現に数年かかる非コンビニ事業の上場を待つよりも、先に分離して26年2月期末までに株式の大半を「戦略的パートナー」などに売却する路線へかじを切った。
井阪隆一社長は10日の記者会見で、買収に関して「日米のコンビニ事業を資本効率も考えて経営することが、買収提案の(示した)価値を上回り、株主から評価をいただくすべだ」と述べた。
[時事通信社]
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