電事連、核のごみ搬入打診=海外から、青森知事は拒否―低レベル返還計画変更
電気事業連合会(電事連)の佐々木敏春副会長は10日午前、青森県庁で宮下宗一郎知事と会談した。原発の使用済み核燃料の再処理に伴い発生する放射性廃棄物について、海外から返還される低レベル廃棄物を少量の高レベル廃棄物(核のごみ)に交換した上で、同県内の施設に搬入する案を打診した。従来の計画を変更する形で、宮下知事は「理解もできないし、協力もできない」と拒否した。
電事連はフランスの原子力事業者と、低レベル廃棄物の日本への返還を2033年中に完了する約束をしている。ただ、大量の低レベル廃棄物のままでは輸送回数が増え期限までの返還が困難な上、新たな受け入れ施設建設などにも時間を要するため、少量の高レベル廃棄物に交換することで約束を順守したい考えだ。
これに対し、宮下知事は「国際的な信頼より、青森県民との信頼関係を第一に事業をしてほしい」と強調した。
核のごみは、再処理の際に出る放射性廃液をガラスで固めたもの。日本では六ケ所村で再処理工場が建設中だが完成延期を繰り返しており、国内の電力会社はフランスや英国に再処理を委託している。
返還対象はフランスにあるステンレス製容器に入った低レベル廃棄物約1800本だったが、電事連は外部への放射線の影響が同等の高レベル廃棄物約20本に交換し、六ケ所村の既存施設で一時貯蔵したい意向だ。
佐々木副会長は会談後、記者団に「必要な選択肢だと思うので、引き続き丁寧に説明していく」と述べた。
青森県は10年に、フランスでの再処理に伴う低レベル廃棄物の受け入れと、英国にある低レベル廃棄物を高レベル廃棄物に交換して受け入れることを了解している。
[時事通信社]
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