イラン、イスラエルけん制に躍起=報復警戒、核施設は除外か
【イスタンブール時事】イランが大規模ミサイル攻撃に対するイスラエルの反撃に警戒を強めている。攻撃から8日で1週間となり、イスラエルは標的を含む報復内容を検討中。重要な施設が狙われるなど影響が大きい攻撃を受ければ、イランが強硬な対抗策を迫られかねず、両国の応酬が長引く恐れもある。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は7日、イスラエルがイランの軍事、情報機関の拠点や指導部に関する施設を報復攻撃の対象とし、核施設を除外する可能性が高いと伝えた。イスラエルは4月、在シリア大使館空爆に反発したイランから初の直接攻撃を受けた際、防空レーダーへの反撃に抑制した経緯がある。
イランは1日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者殺害などへの報復として、イスラエルに約200発の弾道ミサイルを発射。一部は中部や南部の空軍基地に着弾した。
使われた弾道ミサイルが4月の対イスラエル攻撃の倍近くで、イスラエル側は攻撃の強度が上がったと判断。ネタニヤフ首相は「イランは過ちを犯した代償を払う」と報復の意向を宣言した。
一方、イランの最高指導者ハメネイ師は攻撃を「素晴らしい仕事」と正当化。イスラエルに対し「必要なら正しく合理的な措置を再び取る」とけん制を強めている。欧米との関係改善を訴えていたペゼシュキアン大統領も「戦争を求めていないが、シオニスト(イスラエル)のせいで対応せざるを得ない」と述べ、国際融和路線は影を潜めた形だ。
イランのメディアによると、精鋭軍事組織「革命防衛隊」幹部は「間違いを犯せば、発電所、ガス田などエネルギー施設を同時に破壊できる」と警告した。しかし、イラン研究センター(トルコ)のセルハン・アファジャン副所長は「イランでは誰も戦争を望んでいない。イスラエルや米国との衝突になれば全ての力を注ぎ込む必要があり、イランにとって最悪の展開だ」と分析する。
イスラエルのガラント国防相は9日に米国を訪れ、対イラン報復や米国の支援態勢などを協議する見通し。今週末にはユダヤ教の重要な祝日「贖罪(しょくざい)の日」(ヨム・キプール)を控えており、攻撃の時期を慎重に見極めるとみられる。
[時事通信社]
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