大谷が示す「新しい王道」=歴史的活躍に鈴村准教授―米大リーグ
今季の米大リーグのレギュラーシーズンでは、ドジャースの大谷翔平選手が史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成するなど歴史的な活躍を見せた。野球文化学会会長で野球史に詳しい名城大の鈴村裕輔准教授は「打って走れる選手のレベルをグレードアップさせた」とした上で、「2020年代の大リーグは、野球の歴史の中で大きな変動期に差し掛かっているのではないか」と語った。
米球界では2010年代から、投球の回転数や変化の度合い、打球の速度や角度などのデータの計測・解析が進んだ。根拠がある数字に基づいたトレーニングにより、勘や経験に頼りがちだった以前に比べ、効率的にトレーニングに取り組める状況にある。
鈴村氏は近年の投手の平均球速が上がったり、50本以上の本塁打を放つ打者がコンスタントに出たりしている点を踏まえ、「最新のテクノロジーを活用できる選手がどんどん記録を伸ばせる。発展の上昇の角度が急に付いてきた」と指摘。大谷らを念頭に、「能力がある選手なら、より近道を通ってより高みに上れる『新しい王道』ができたのではないか」と述べた。
米球界において、ベーブ・ルースの登場で本塁打が野球の華となった1920年代、人工芝の普及で機動力野球が盛んになった70年代に続く変革との見方も示した。
今季の大谷の54本塁打、59盗塁はメジャー全体で共に2位。同一シーズンで両部門が2位以上だったのは、9本塁打と76盗塁でメジャートップだった1909年のタイ・カッブ(タイガース)以来115年ぶりになる。大谷は投打の二刀流で2022年にルース以来104年ぶりの「2桁勝利、2桁本塁打」を成し遂げ、今度は「飛ばないボール」の時代に展開された野球も呼び起こす形になった。鈴村氏は「優れた存在が過去の歴史をよみがえらせ、新しい歴史を築く典型例」とみている。
[時事通信社]
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