2024-10-01 21:29経済

製造業景況感、横ばい=堅調維持も、海外経済懸念―9月日銀短観

日銀短観・大企業の業況判断DI
日銀短観・大企業の業況判断DI

 日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス13と、6月の前回調査から横ばいとなった。電気機械がプラス11(前回プラス1)と大幅改善するなど、IT関連需要の世界的な回復が好影響を与えたが、中国を中心とした海外経済減速も懸念され、改善は足踏み状態となった。
 DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。農林中金総合研究所の南武志理事研究員は「企業の景況感はおおむね堅調さを保っているが、先行きを若干不安視していることも見て取れる」としている。 
 大企業製造業の景況感は、半導体市況の回復などが支えとなったが、海外需要の伸び悩みなどで鉄鋼はマイナス5(同0)に悪化。認証不正問題からの回復途上にある自動車も、台風による工場稼働停止などが響き、プラス7(同プラス12)と振るわなかった。
 大企業非製造業はプラス34(同プラス33)。幅広い業種で価格転嫁が進展し、2四半期ぶりに改善した。インバウンド(訪日客)消費の好調などで宿泊・飲食サービスはプラス52と、3月調査と並ぶ過去最高になったほか、猛暑で夏物衣料が売れるなどした小売りも大幅に改善した。
 先行きは、大企業製造業がプラス14と、わずかながら改善を見込む。大企業非製造業はプラス28と悪化見通しで、慎重な姿勢が見られる。
 懸念材料となっているのは人手不足だ。全規模全産業の雇用人員判断DIはマイナス36(同マイナス35)と不足感が強まった。特に中小企業非製造業はマイナス47で過去最低。先行きも人員確保への懸念が強い。
 全規模全産業の2024年度の想定為替レートは1ドル=145円15銭(同144円77銭)。24年度の大企業全産業の設備投資計画は、前年度比10.6%増と好調を維持している。

 
 ◇9月日銀短観の主な指標
                6月  9月 12月予想
▽業況判断指数
(DI、「良い」―「悪い」)
大企業製造業          13  13    14
大企業非製造業         33  34    28
中小企業製造業         ▲1   0     0
中小企業非製造業        12  14    11
▽販売価格判断指数
(DI、「上昇」―「下落」)
大企業製造業          29  26    26
大企業非製造業         29  29    29
▽仕入価格判断指数
(DI、「上昇」―「下落」)
大企業製造業          47  41    39
大企業非製造業         47  46    44
▽雇用人員判断指数
(DI、「過剰」―「不足」)
大企業製造業         ▲18 ▲19   ▲22
大企業非製造業        ▲39 ▲39   ▲39
▽24年度設備投資計画(土地含む、前年度比増減率%)
大企業製造業        18.4 18.8    ―
大企業非製造業        7.0  6.0    ―
▽全規模全産業の24年度想定為替レート(9月)
              1ドル=145円15銭
(注)▲はマイナス、―は数値なし


 ◇日銀短観のポイント
 一、大企業製造業DIはプラス13と横ばい。先行きはプラス14
 一、大企業非製造業DIはプラス34と2期ぶり改善。先行きはプラス28
 一、中小企業製造業DIはゼロで3期ぶり改善。先行きはゼロ
 一、中小企業非製造業DIはプラス14と3期ぶり改善。先行きはプラス11
 一、大企業の自動車DIは5ポイント悪化のプラス7
 一、大企業の小売DIは9ポイント改善のプラス28
 一、大企業製造業の販売価格DIは3ポイント低下のプラス26
 一、大企業製造業の仕入価格DIは6ポイント低下のプラス41
 一、24年度の大企業全産業の設備投資計画は前年度比10.6%増
 一、全規模全産業の24年度想定為替レートは1ドル=145円15銭

最新動画

最新ニュース

写真特集