2024-10-01 12:41経済

製造業景況感、横ばい=IT需要支え、非製造業改善―9月日銀短観

日銀短観・大企業の業況判断DI
日銀短観・大企業の業況判断DI

 日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス13と、6月の前回調査から横ばいだった。電気機械が大幅に改善するなどIT関連需要が回復傾向にある一方、中国など海外需要停滞への警戒感も目立ち、強弱両面の要因による綱引きとなった。
 一方、大企業非製造業はプラス34(前回プラス33)。幅広い業種で価格転嫁が進展したのを背景に、2四半期ぶりに改善した。
 DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。 
 大企業製造業のうち、半導体市況回復などの恩恵を受けた電気機械はプラス11(同プラス1)と大幅に改善。歴史的な円安水準の修正に伴い原材料価格の上昇が一服し、紙・パルプや化学も好調だった。中国向けを中心とした需要伸び悩みなどで鉄鋼はマイナス5(同0)に悪化。自動車はプラス7(同プラス12)と、台風による工場停止などが響いた。
 大企業非製造業では、台風や猛暑の影響で夏物が売れるなどした小売りがプラス28(同プラス19)と改善した一方、レジャー施設などを含む対個人サービスは悪化した。インバウンド(訪日客)需要などで、宿泊・飲食サービスはプラス52と、3月調査と並ぶ過去最高になった。
 全規模全産業の雇用人員判断DIはマイナス36(同マイナス35)と人手不足感が一段と強まった。特に中小企業非製造業はマイナス47で過去最低となった。
 中小企業の景況感は製造業が0(同マイナス1)、非製造業はプラス14(同プラス12)と、いずれも3四半期ぶりに改善した。
 先行きの景況感は、大企業製造業がプラス14と改善、非製造業はプラス28と悪化を見込む。
 全規模全産業の2024年度の想定為替レートは1ドル=145円15銭(同144円77銭)。24年度の大企業全産業の設備投資計画は、前年度比10.6%増となった。

 
 ◇9月日銀短観の主な指標
                6月  9月 12月予想
▽業況判断指数
(DI、「良い」―「悪い」)
大企業製造業          13  13    14
大企業非製造業         33  34    28
中小企業製造業         ▲1   0     0
中小企業非製造業        12  14    11
▽販売価格判断指数
(DI、「上昇」―「下落」)
大企業製造業          29  26    26
大企業非製造業         29  29    29
▽仕入価格判断指数
(DI、「上昇」―「下落」)
大企業製造業          47  41    39
大企業非製造業         47  46    44
▽雇用人員判断指数
(DI、「過剰」―「不足」)
大企業製造業         ▲18 ▲19   ▲22
大企業非製造業        ▲39 ▲39   ▲39
▽24年度設備投資計画(土地含む、前年度比増減率%)
大企業製造業        18.4 18.8    ―
大企業非製造業        7.0  6.0    ―
▽全規模全産業の24年度想定為替レート(9月)
              1ドル=145円15銭
(注)▲はマイナス、―は数値なし


 ◇日銀短観のポイント
 一、大企業製造業DIはプラス13と横ばい。先行きはプラス14
 一、大企業非製造業DIはプラス34と2期ぶり改善。先行きはプラス28
 一、中小企業製造業DIはゼロで3期ぶり改善。先行きはゼロ
 一、中小企業非製造業DIはプラス14と3期ぶり改善。先行きはプラス11
 一、大企業の自動車DIは5ポイント悪化のプラス7
 一、大企業の小売DIは9ポイント改善のプラス28と過去最高
 一、大企業製造業の販売価格DIは3ポイント低下のプラス26
 一、大企業製造業の仕入価格DIは6ポイント低下のプラス41
 一、24年度の大企業全産業の設備投資計画は前年度比10.6%増
 一、全規模全産業の24年度想定為替レートは1ドル=145円15銭

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