再起の農家、継続に苦悩=「大雨の被害、地震以上」―石川県輪島市
石川県・能登半島北部を襲った記録的大雨は、農業にも深刻な打撃を与えた。元日に起きた地震の被害から再生を果たした水田も、濁流にのみ込まれた。被害に遭った農家は「地震とは比べものにならない。諦めるしかないのか」と苦悩をにじませる。
同県輪島市の池徹哉さん(41)は、約10年前から大屋地区で稲作などに携わってきた。元日の地震で水田の用水路が壊れたが、5月には仮設ポンプを設置。1枚1枚の水田に丁寧にホースを入れて水を通し、5月末から6月初めにかけて、ようやく作付けにこぎ着けた。
稲刈りも始まり、再起への道が開けた。その矢先の今月21日、水田は経験のない大雨に襲われた。
近くを流れる鳳至川は氾濫し、水田は濁流にのみ込まれた。泥で埋まる用水路。横倒しになった収穫前の稲は土砂に埋もれ、一部の水田は水流でえぐり取られた。ミニトマトやシイタケの原木もビニールハウスごと流された。
水田約9ヘクタールのうち、収穫できたのはわずか約2ヘクタール。「水田ごと駄目になった。もう個人の力でどうこうできない」。来年の作付けの見通しは立たず、「農業はやめたくないが、家族も養わないといけない。諦めるしかないのか」と苦悩する。
被害は1004枚の棚田が連なる輪島市の景勝地「白米千枚田」でも。地滑りで棚田が崩壊し、一部は土砂の下敷きになった。
白米千枚田を管理する「白米千枚田愛耕会」の白尾友一代表(60)は「地震後、棚田の修復を続けてきたが、マイナスに戻った」と落ち込む。地震によるひび割れは人の力で対応できたが、大雨による崩落の修復には重機が必要といい、「一体どうなるのか」と変わり果てた棚田を見詰めた。
[時事通信社]
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