膨らむ夢、問われる真価=大の里、師弟で異なる歩み―大相撲
師弟の夢は膨らむ。秋場所で圧倒的な強さを見せた大の里が大関に昇進する。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)が新入幕から42場所かけてたどり着いた地位にわずか5場所で到達。中卒たたき上げの師匠とは異なる歩みで駆け上がった。
アマチュア相撲界を席巻した大の里は幕下10枚目格付け出しでデビュー。師匠も、貴花田(後の横綱貴乃花)に次ぐ年少記録の17歳9カ月で新十両昇進を果たすなど出世は速かったが、「僕は壁に当たった」と振り返る。白鵬、日馬富士らモンゴル勢が全盛の時代。「(大の里には)僕みたいにならないように真っすぐ進んでほしい」と言う。
初土俵から89場所目で初優勝を遂げた稀勢の里に対し、大の里は史上最速の7場所目で初賜杯を獲得。横綱照ノ富士不在の場所が多いとはいえ、順調な成長曲線を描いているように映る。「自分の相撲が取れると、勝てるようになった」と師匠は実感を込める。
二所ノ関親方は、入門時の師匠だった故鳴戸親方(元横綱隆の里)の指導による猛稽古などで自らを鍛え上げた。今も白まわしを締めて大の里に胸を出すなど、指導に余念がない。「勉強になる。出稽古に行くより価値がある」とは24歳の大器。番付の頂点を目指す上で、充実した環境と言えるだろう。
大の里は夏場所前に20歳未満の幕下以下の力士との飲酒問題が発覚し、日本相撲協会から師匠と共に厳重注意を受けた。新大関で迎える九州場所では、看板力士としてその振る舞いはさらに注目を浴びることになる。「一生懸命頑張れば、結果はついてくる」。真価が問われるのはここからだ。
[時事通信社]
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