男児刺殺、ネットにも悼む声=政府の反日宣伝批判も―中国
【深セン時事】中国南部・広東省深セン市で日本人学校に登校中の日本人男児が男に刃物で襲われて死亡した事件で、男児が通っていた日本人学校には20日も花束などが手向けられた。中国ではSNS上に男児を悼むメッセージが多数寄せられ、事件の背景として政府による反日宣伝の影響を指摘する声も出ている。
深セン日本人学校は今週は休校、来週はオンライン授業となり、この日は教材などを取りに来る児童らの姿が見られた。保護者に付き添われた児童らは、不安げな表情を浮かべ足早に学校を後にした。
学校には献花も絶えなかった。小中の計9年間を同校で過ごした都内の私立大1年、関川あかりさん(19)は「卒業生としてとてもショックです。この辺りで危険を感じたことはなかったのに」と語った。旅行で19日に深センに来たという。
市民も献花に訪れ、30代の女性は「私たち中国人も悲しく悔しい」と話した。中国ではSNS「微博(ウェイボー)」の事件関連の投稿でも、男児の冥福を祈るものや「子供を襲うのは許せない」といった犯行を非難するものが多い。
事件と歴史問題を関連付ける書き込みも相次いでいる。事件があった18日は、満州事変の発端となった柳条湖事件から93年に当たる日だった。柳条湖事件は中国で「九・一八事変」と呼ばれており、今回の事件を「九・一八深セン男児襲撃事件」と表現する投稿もある。
「九・一八は中国人みんなが知っている。まだ償われていない」といった過激な内容もある一方で、「国辱を忘れないことと恨みを晴らすことは違う」といった冷静な意見も多い。また、「(事件は)憎しみを宣伝する教育が招いた」「政府が憎悪をあおった結果だ」など、中国政府による歴史問題に絡めた反日宣伝や反日教育に批判的な書き込みもある。
[時事通信社]
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