大器相手に示した力=若隆景、大の里止める―大相撲秋場所
快調に白星を積み重ねていた今場所の主役を、粘りに粘って食い止めた。大の里を撃破し、鳴りやまない拍手の中で勝ち名乗りを受けた若隆景。「自分の相撲を取ることに集中していた」。充実の内容にも、表情一つ変えなかった。
大の里の鋭い出足に、押し込まれての土俵際。もろ差しになり、前に出る。反撃されて再び俵に足がかかったが、うっちゃりで体を入れ替え、相手を土俵の外に運んだ。「俵の中にいる限りは、勝負を諦めなかった。我慢して相撲が取れた」
新関脇だった2022年春場所で初優勝。翌年春場所で右膝に大けがをするまでは、大関に最も近い存在と言われていた。幕下まで転落した自身を猛スピードで追い抜き、その地位を目指す24歳との対戦。「そういうことは考えない」とけむに巻いたが、九重審判長(元大関千代大海)は「やってやるという顔をしていた。プライドもあったと思う」と、期する思いを推し量る。
優勝の可能性を残し、あと3日。「またあしたも頑張りたい」。復活途上の幕内復帰2場所目。欲は出さず、最後まで自分の相撲に徹する。
[時事通信社]
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