岸田首相「事実説明を」=中国・男児襲撃、安全確保急ぐ
中国広東省深センで日本人学校の男児が刺されて死亡した事件を受け、岸田文雄首相は19日、「中国側に事実関係の説明を強く求める。一刻も早い説明を求めるよう指示した」と語った。日本政府は安全確保強化策の検討を開始。中国では6月にも日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子への襲撃が発生しており、政府は一層の安全確保策を迫られる。
首相は19日、石川県内灘町で記者団に「深い悲しみを禁じ得ない。極めて卑劣な犯行で重大かつ深刻な事案だ」と非難。「政府としてできることは全て行う」と述べ、邦人の安全確保と再発防止を中国側に要求する考えも強調した。
林芳正官房長官は記者会見で、中国当局に警備強化を求め、スクールバスや徒歩で日本人学校に通学する際の安全確保策について、外務、文部科学両省を中心に早急に検討する方針を示した。
6月に江蘇省蘇州市で発生した事件を受け、外務省は日本人学校や補習授業校に安全対策の再点検を促し指導してきた。2025年度予算の概算要求でも、中国でのスクールバスへの警備員配置費を新たに3億5000万円計上。今回は、「予算が成立するまではできる限りの対応をしている」(外務省幹部)という矢先の事件だった。
18日は満州事変の発端となった柳条湖事件から93年に当たり、政府は中国外務省に対し、安全に万全を期すよう申し入れていた。その中での事件に、日本政府関係者は「論評は控えたい」と言葉少なだ。
首相は記者団に日中関係への影響を問われ言及を避けたが、影を落とすのは必至だ。外務省関係者は「中国に行きたくないという人は増えるだろう」と語った。
[時事通信社]
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