米、0.5%大幅利下げ=雇用重視で4年半ぶり―政策転換、追加下げ想定・FRB
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.5%引き下げることを決めた。利下げは2020年3月以来4年半ぶり。記録的なインフレが落ち着いたことで、金融緩和へ政策転換する。景気と雇用の悪化を回避するため、下げ幅を通常の2倍とした。年内の残り2会合で計0.5%利下げする想定も示した。
新たな政策金利は年4.75~5.00%。ボウマン理事が0.25%の利下げを主張し、反対票を投じた。市場では、下げ幅が0.25%にとどまるとの観測もあったが、FRBは大幅利下げによりインフレ退治から雇用拡大の維持に政策運営の軸足を移す姿勢を鮮明にした。
FRBは声明で「雇用の伸びが鈍化した」とする一方で、インフレ率が目標の2%に低下する「確信が強まった」と明言。「金利の追加調整を検討する際に指標などを注意深く精査する」と、経済情勢をにらみ利下げを継続する方針を示した。
パウエル議長は記者会見で、大幅利下げの狙いについて、「経済と労働市場の強さを維持するため」と説明。景気下支えが「後手に回らない決意を示すものだ」と強調した。
会合参加者の政策金利見通し(中央値)によると、25年の利下げは0.25%幅で4回、26年は2回と、金融緩和局面が続くと見込んだ。
経済見通しでは、インフレ率が25年末に2.1%(6月時点は2.3%)と、物価目標をほぼ達成。失業率は24年末に4.4%(4.0%)に悪化し、その後高止まりすると予想した。
米消費者物価指数(CPI)上昇率は22年6月に約40年ぶりの高水準となる9.1%を記録した。ただ、金融引き締めや供給混乱の収束により、今年8月には2.5%まで下がった。
一方で、直近6~8月の就業者数の前月比伸びは月平均で11万6000人。1~3月の半分以下となり、景気減速が鮮明だ。FRBは、インフレを抑制しつつ雇用拡大を図る景気の「ソフトランディング(軟着陸)」に向けて金融緩和にかじを切り、景気と労働市場の下支えに乗り出す。
◇米FRB金融政策の歩み
2020年3月 コロナ危機対応で計1.5%利下げ、事実上のゼロ金利導入
4月 失業率、過去最高の14.8%に
21年10月 消費者物価指数(CPI)上昇率、6%突破
22年3月 ゼロ金利解除、利上げ開始
6月 CPI上昇率、約40年ぶり高水準の9.1%に
6~11月 4会合連続で0.75%の大幅利上げ
23年1月 失業率、約53年ぶり低水準の3.4%に
24年8月 CPI上昇率、2.5%に低下
9月 0.5%大幅利下げ
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