ヒズボラのポケベル爆発、イスラエルが供給網に潜入・工作か
【パリAFP=時事】レバノン各地で17日、イスラム教シーア派組織ヒズボラのメンバーらが使用しているポケットベル(ポケベル)型の小型通信機器が相次いで爆発した事件について、アナリストらは、イスラエルの情報当局が通信機器の供給網に潜入し、配送前の機器を改ざん、任意の時間に爆発するよう設定したとの見方を示した。≪写真は、レバノン・ベイルートで、ヒズボラのメンバーらが使用しているポケットベル型の小型通信機器の爆発による負傷者を搬送する救急車≫
レバノン各地でヒズボラの拠点を標的とした前例のない同時攻撃で、少なくとも9人が死亡、約2800人が負傷。被害者の中には、ヒズボラを支援しているイランの駐レバノン大使も含まれていた。
ヒズボラは内部の通信手段として、セキュリティー上の理由から、スマートフォンよりもポケベルの使用を好むことが知られていた。
ヒズボラに近い情報筋は匿名を条件にAFPの取材に応じ「爆発したポケベルは、ヒズボラが最近輸入した通信機器1000個の一部」で、「出荷元で破壊工作が行われたとみられる」と語った。
ベルギー・ブリュッセルに拠点を置く軍事・安全保障アナリストのエリヤ・マグニエ氏は、「イスラエルがポケベルの新たな配送分に起爆スイッチを埋め込むためには、これらの機器の供給網にアクセスする必要があっただろう」と指摘する。
同氏はさらに、機器を販売した第三者がイスラエル当局によって用意された「情報機関のフロント」だった可能性を示唆した。
米シンクタンク「中東研究所」のチャールズ・リスター氏は、「これは単にリチウム電池が異常な負荷をかけられ、安全機構が無効化されたというだけではない。小型のプラスチック爆薬が電池と共に組み込まれ、通話や送信によって遠隔操作で起爆するように仕組まれていたことはほぼ確実だ」と分析。イスラエルの対外特務機関「モサドが供給網に侵入した」結果だと結論付けた。
米中央情報局(CIA)の元アナリストで、米シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」に所属するマイク・ディミノ氏も、負傷した被害者の画像から判断して、電池の過熱よりも、機器内部に「非常に小さな爆発物」が埋め込まれていた可能性が最も高いと述べた。
同氏はX(旧ツイッター)で「これは伝統的な破壊工作作戦だ」と投稿。こうした作戦は「数か月、場合によっては数年」を要すると付け加えた。【翻訳編集AFPBBNews】
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