半導体工場効果続く=物流施設もニーズ堅調―基準地価
国土交通省が17日発表した基準地価は、政府の後押しを受けて半導体工場の建設が進む地域の周辺で上昇傾向が続いた。受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が第2工場の建設を決めた熊本県菊陽町の東隣、大津町の商業地と工業地は上昇率が全国1位だった。自動車やスマートフォンなど用途が広い半導体への成長期待は、大型物流施設の用地取得にもつながり、各地で空港や高速道路にアクセスしやすい場所の地価が押し上げられた。
菊陽町は、TSMC第1工場の年内稼働をにらんで従業員向けアパートなどの住宅建設が続いた。大津町は店舗用地などが供給不足に陥っており、地元の不動産業者は「周辺の土地や投資物件の需要は強い」と語る。
次世代半導体の国産化を目指すラピダス(東京)が工場を建設中の北海道千歳市も、住宅やホテル、事務所用のニーズが強い。進出が決まった昨年に続いて住宅地、商業地、工業地のいずれも地価が大幅上昇。市内で賃貸物件を扱う不動産会社は「単身用から家族向けまで、すべてが不足気味だ」と説明する。
物流拠点用地の引き合いが強いのは「半導体効果」やインターネット通販が引き続き拡大していることに加え、トラック運転手の残業規制強化も影響している。人手不足を補うため、「効率性を備えた物流網・施設の整備が求められる」(三菱地所の中島篤社長)として、企業が物流網を見直す動きが広がっている。
こうした事情から、工業地帯が広がる千葉県の湾岸エリア(船橋、市川、習志野各市)や兵庫県尼崎市などの地価上昇が目立つ。仙台市宮城野区、福岡県宇美町などの工業地も2割前後上昇した。「交通の利便性が高く、物流拠点で働く人材を採用するのに有利なエリアで需要が高まっている」(オリックス不動産)という。
[時事通信社]
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