中国、国際養子縁組を停止=30年の歴史に幕、「使命終えた」
【北京時事】中国から子供を養子として外国に送り出す国際養子縁組について、同国政府が先月下旬に停止したことが明らかになった。約30年にわたり孤児らを米国などに送ってきたが、中国メディアは生活水準の向上を背景に「使命を終えた」と報じている。
「子供を養子縁組のために国外へ送り出すことはもうない」。中国外務省の毛寧副報道局長は5日の記者会見で、外国人記者の質問に答える形で、先月28日から国際養子縁組の送り出しを停止していることを認めた。
中国は1990年代初頭に関連法を整備し、政府機関を通じて国際養子縁組を本格化させた。背景には、79年に打ち出された産児制限「一人っ子政策」の影響があったとされる。
農村などでは伝統的に男児を欲しがる傾向が強く、女児が生まれた場合、孤児院に預けたりすることが多かった。障害のある子供の養育を断念する家庭も多く、国際養子縁組はそうした子供の受け皿の一つとなってきた。
米国の養子受け入れ団体「チャイナズ・チルドレン・インターナショナル」によると、中国からは92年以降、16万人以上の子供が養子として外国に渡り、そのうち約8万2000人を米国の家庭が受け入れた。ほとんどが女児という。
7日付の共産党機関紙系の環球時報は、「医療水準の向上で障害を持つ子供が減り、男尊女卑の思想も大きく変わった」と指摘。国際養子縁組の停止は、中国社会の発展を反映したものだと解説した。
一人っ子政策は2016年に撤廃されたが、中国の出生数は17年から減少。22年には総人口も減少に転じており、急速に進む少子化も今回の決定の背景にありそうだ。
[時事通信社]
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