ガザ交渉、米政府に悲観論=戦略再検討に着手―報道
【カイロ時事】米ネットメディア「アクシオス」は8日、パレスチナ自治区ガザの停戦交渉でイスラエルとイスラム組織ハマス双方が態度を硬化させているため、仲介役の米政府内で先行きに対する「大きな悲観論」が出ていると報じた。早期の妥結に懐疑的な見方が広がり、ホワイトハウスは戦略を再検討しているという。
ブリンケン米国務長官は、事態打開に向けて米政府が新たな停戦案を近く提示するとの見通しを示した。だが、複数の米高官はアクシオスに対し、そうした動きが直ちに起きるわけではないと強調。高官の一人は「ホワイトハウス内で悲観的な見方やいら立ちが広がっている。難しい局面にある」と語った。
イスラエル軍は1日、ガザ南部で人質6人が遺体で発見されたと発表。ハマスが殺害したとみられている。アクシオスによると、殺人罪で終身刑判決を受けイスラエルで収監中のパレスチナ囚人100人以上についても、ハマスは新たに釈放を要求した。
米当局者によれば、ハマスの最高指導者シンワル氏には現時点で交渉を妥結させるつもりがないと、ホワイトハウスはみている。仮に同氏が妥結に意欲を示しても、人質を殺害し極端な要求を突き付けるハマスに、米国が譲歩したと受け取られる事態は避けたいというジレンマも抱える。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相も強硬姿勢を変えず、交渉で大きな対立点となっているガザの対エジプト境界地帯への軍駐留について、継続を主張。米政府は対応に苦慮している。
交渉仲介に当たっている米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は7日、ロンドンでのイベントで「最終的には当事者双方のトップが(衝突は)もうたくさんだと考え、妥協という難しい決断を下せるかどうかに懸かっている」と指摘。ネタニヤフ氏とシンワル氏に合意を促し、米国としても他の仲介国と共に最善を尽くす考えを示した。
[時事通信社]
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