冷静に、迷いなく=初心に返る大の里―大相撲「上昇気流に乗って」(上)
大相撲秋場所は8日に東京・両国国技館で初日を迎える。三役在位の直近2場所で計21勝の関脇大の里が大関昇進の期待を背負う。東前頭7枚目まで番付を戻した元関脇若隆景の相撲ぶりにも注目が集まる。
◇昇進「考え過ぎず」
課題に向き合い、ひたむきな姿勢を貫く。「もう一回しっかり、思い切って自分の相撲を取りたい」と大の里。稽古場では基礎運動に力を入れ、腰高の改善に取り組む。「やるべきことをやる」と集中している。
一気の大関とりの可能性が話題になった7月の名古屋場所は9勝どまり。「考え過ぎた反省がある」。得意の右差しが研究されただけではなく、上の番付が脳裏をよぎることも。取り口に硬さがあった。だから「先のことは考えず、目の前のことを15日間しっかりやる」。
場所前の稽古総見を見守った八角理事長(元横綱北勝海)は「まだまだ新弟子という感じ」と辛口だ。破竹の勢いは止まった印象がある。それでも、大の里が繰り返す「もう一回しっかり」という言葉に、初心に返る覚悟がにじむ。
夏巡業中に青森県藤崎町を訪れ、大正から昭和初期の大関で自身のしこ名の由来になった「大ノ里」の親族と対面した。家系図や当時の化粧まわしを見せてもらい、「名前を頂いたからには、しっかり大関にならないといけない」。決意を新たに初日を迎える。
いまだ大いちょうを結えない24歳の大器は、「何も考えていない。頭を真っ白にして15日間頑張るだけ」と無欲さを強調する。まずは一心にぶつかって持ち前の馬力を発揮できれば、目標とする地位も見えてくる。
[時事通信社]
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