USスチール買収、さらに逆風=「阻止」報道、日鉄は旗降ろさず
日本製鉄のUSスチール買収計画に対する逆風がさらに強まった。複数の米国メディアは4日、バイデン米大統領が買収を阻止する意向だと報道。ロイター通信は米政府が日鉄に対し、買収は安全保障上のリスクになると警告する書簡を送付したと伝えた。日鉄は依然として買収の旗を降ろしていないが、計画通りに実現するかどうかは微妙な情勢だ。
日鉄は先月下旬以降、買収に理解を得ようと13億ドル(約1900億円)の追加投資や、取締役の過半数を米国籍とする企業統治方針を立て続けに表明。5日に発表した談話で「USスチールと米国鉄鋼業界全体は、より強固な基盤を築くことができる」と、従来通りの姿勢を強調した。USスチールも「買収が失敗に終われば、数千人の組合員の雇用を危険にさらし、複数の製鉄所の閉鎖や本社移転を余儀なくされる可能性が生じる」と、妥当性を訴えてきた。
しかし、11月の大統領選を控え、計画に反発する全米鉄鋼労組(USW)の労働者票を狙い、買収反対を繰り返し表明してきた共和党のトランプ前大統領に加え、民主党のハリス副大統領も反対姿勢を鮮明にした。こうした中、バイデン大統領が買収阻止を正式表明するのか、米当局の判断に注目が集まっている。
買収計画を審査する米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)が計画を認めなかった場合、日鉄は米国内の同業と共同で買収するなど「プランB」の準備を迫られそうだ。ただ、今回の買収はUSスチールの申し出から始まっており、計画の修正には同社の方針転換も必要となる。
[時事通信社]
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