日豪、中国機侵犯に「深刻懸念」=島しょ国デジタル化へ新枠組み―2プラス2共同声明
日豪両政府は5日、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)をオーストラリア南東部メルボルン近郊で開き、共同声明を発表した。声明は中国軍機による最近の日本の領空侵犯に対し「深刻な懸念」を表明。米国も交え「共同の抑止力を構築する」とうたった。太平洋島しょ国に影響力を強める中国に対抗するため、島しょ国の通信インフラ整備などを支援する枠組みの創設も打ち出した。
領空侵犯を踏まえた文言は当初の声明案にはなかったが、5日の協議を経て追加された。声明は中国による東・南シナ海での現状変更の試みに「強い反対」を強調。特にフィリピンに対する威圧的行動に「深刻な懸念」を示した。台湾問題の「平和的解決」も促した。
日本は豪州を「準同盟国」と位置付ける。声明では「国家安全保障政策をかつてなく緊密に連携させていく」と明記。陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」の来春創設を踏まえ、自衛隊と豪軍がそれぞれの司令部に連絡官を派遣し合うことで合意した。日本の反撃能力整備に向けた「協力の深化」も確認。米軍横田基地(東京都)に置かれた日米共同情報分析組織(BIAC)に豪州が要員を参加させることも盛り込んだ。
新たに創設するインフラ整備の枠組みは「日豪太平洋デジタル開発イニシアチブ」。日豪で連携し、島しょ国の海底ケーブルの敷設やサイバーセキュリティー能力の構築などを後押しする。
日豪の2プラス2は2022年12月以来。日本側は上川陽子外相と木原稔防衛相、豪州側はウォン外相とマールズ国防相が出席した。上川氏は会合後にウォン氏と個別に会談した。
[時事通信社]
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