井上尚、求める進化=KO勝ちにも満たされない王者―ボクシング世界戦
背中の大きな筋肉を一層盛り上がらせ、右ストレートを打ち抜く。すかさず井上尚がラッシュを見舞うと、ドヘニーは右腰を手で押さえた。7回に訪れた突然の結末は、自身の記録を更新する世界戦9試合連続KO勝ち。「これから、というところだった。理想ではなく、中途半端な終わり方だった」と苦笑いした。
前日計量から11キロも増やしたドヘニーに対し、丁寧な組み立てを重視した。ステップで惑わしたり、右を合わせたり。展開は静かでも、会場には重い音が響く。「内容は悪くなかった。たらればだけど、後半に見せ場をつくろうと思っていた」。少し物足りなさが残ったのも事実だった。
自らに進化を促す。それは「どこが自分の完成形か分からない」という思いからだ。スーパーバンタム級で4戦目。相手は格下との声に惑わず、夏場でも練習の質も量も徹底した。かつてないほど筋骨は隆々。前日から意図的に7キロ以上増量し、「適正体重を探そうと思った。(きょうは)若干重かった」。問われていたこの一戦の意義を、自ら見いだそうとした。
米老舗誌による全階級を通じた世界ランキングで、一時は1位に返り咲いた4団体統一王者。来年には本場の米ラスベガスに再び乗り込む計画もある。「格闘技人生も、もう後半だから」と自覚する一方、「まだまだ未完成。もっと上を目指したい」。この日の糧は、31歳をより大きくする。
[時事通信社]
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