反捕鯨団体創設者、勾留は活動の妨げにならない AFPインタビュー
【ヌークAFP=時事】デンマーク自治領グリーンランドの政庁所在地ヌークで7月に拘束され、日本が身柄引き渡しを求めている反捕鯨団体「シー・シェパード」の創設者、ポール・ワトソン容疑者(73)がこのほどAFPの取材に応じ、勾留はクジラを救う活動の妨げにはならないと語った。≪写真は、反捕鯨団体「シー・シェパード」創設者ポール・ワトソン容疑者≫
ワトソン容疑者はヌーク拘置所の面会室でAFPのインタビューに応じた。「彼らが(勾留によって)私たちの抵抗を阻止できると考えているのであれば、私は船を変えただけだ。私の今の船は、ヌーク拘置所だ」とほほ笑んだ。海が見える近代的で灰色の拘置所の独房の窓からは、クジラや氷山が通り過ぎるのも見えるという。
リアリティーTVシリーズ「Whale Wars(ホエール・ウォーズ)」への出演でも知られるワトソン容疑者は、海上での捕鯨船団との衝突など、過激な戦術で知られる。
今年7月、日本の要請を受けて国際刑事警察機構(インターポール)が2012年に発行した「赤手配書」に基づき逮捕された。2010年に南極海で日本の捕鯨船に対する妨害行為を指示したとして、海上保安庁は傷害と威力業務妨害の疑いで逮捕状を取得し、国際手配。日本は、2010年の衝突でワトソン容疑者が捕鯨活動を妨害するために悪臭弾を使用し、日本人乗組員を負傷させたと非難している。
逃亡の恐れがあるとして、デンマーク政府が身柄引き渡し要請に応じるか判断を下すまで勾留が続いている。ワトソン容疑者は、2012年にコスタリカからの要請によりドイツで逮捕された際は、毎日警察に出頭することを条件に保釈されたが、身柄の引き渡しを避けるために出国した前歴がある。
今回の件は、日本による自分への報復だとワトソン容疑者と弁護団と主張している。
「日本の捕鯨の邪魔をすればこうなるという見せしめにしたいのだ」と、厚手の灰色のセーターを着たワトソン容疑者は語った。
ヌークの裁判所は4日、勾留延長に関する審理を開く。
「弁護士からは、延長されるだろうと聞かされている」とワトソン容疑者は明かした。
■日本の司法制度は「中世」
「デンマークは非常に難しい立場にある」とワトソン容疑者は言う。
「彼ら(デンマーク)は私の身柄を引き渡せない。なぜなら人権擁護を声高に訴えているからだ」とする一方、日本の司法制度は「中世」だと批判した。
「私は何もしていない。たとえ何かしたとしても、デンマークでは1500デンマーク・クローネ(約3万3000円)の罰金刑で、実刑判決にすらならないだろう。それなのに日本は禁錮15年を求めている」
捕鯨を今も認めている日本とアイスランド、ノルウェーが捕鯨を再開した場合に備えて、南北両半球に1隻ずつ船を配備し、いつでも出動できるようにしている。
ワトソン容疑者は、自分たちは「抗議団体ではなく」海を守るための「執行団体だ」と主張。時に使われることもある「エコテロリスト」という呼び方を否定した。
「私が行っているのは、アグレッシブだが非暴力的な妨害だ」と言う。
「アグレッシブであることと非暴力的であることには何の矛盾もない。つまり、クジラを殺そうとしている人物から刃物を取り上げようとはするが、その人物を傷つけるつもりはないということだ」
「私がこの一線を越えることはない。人を傷つけたことは一度もない」と強調した。
「1974年に私は捕鯨の根絶を目標に掲げた」とし、「死ぬ前に実現したい」と話した。【翻訳編集AFPBBNews】
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