USスチール買収、理解浸透=年内完了目標「変更なし」―日鉄副会長
日本製鉄の森高弘副会長は29日までにインタビューに応じ、米鉄鋼大手USスチール買収について、従業員や地域有力者らとの対話を通じ「理解が正しく深まり、浸透してきている」との見方を示した。年内に買収を完了させる目標に「変更はない」とも強調した。
森氏は、8月半ばにUSスチールと全米鉄鋼労組(USW)が労働協約で定める「仲裁」のヒアリングがあったと明らかにした。日鉄を正当な継承者と認めないUSWの要請で仲裁の手続きが取られ、9月半ばに結論が出る。
正当な継承者の要件はUSWを従業員代表として認めることや労働協約の順守などで、日鉄はこれらを満たしていると判断される公算が大きい。森氏は「きちんと説明できたので、いい結果が出ると期待している」と語った。
日鉄はトランプ前米政権で国務長官を務めたポンペオ氏をアドバイザーに起用した。森氏は「私たちではなかなかやりきれないことをポンペオ氏ぐらいの立場の人であればやれるし、影響力も非常に強い」と説明した。
一方、日鉄は7月、中国の宝山鋼鉄との合弁事業を解消すると発表した。森氏は「鉄源から一貫で付加価値を取るというグローバル戦略に照らしても、それが許される国ではないし、今はリスクの方が高い」と指摘。その上で、「個別の事業を是々非々で考えていく」との意向を示した。
[時事通信社]
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