処理水放出で閣僚会議=水産業支援を議論―政府
政府は30日、東京電力福島第1原発の処理水放出に関し、首相官邸で関係閣僚会議を開いた。中国による日本産水産物の禁輸が長引き、影響を受ける漁業関係者に対する支援策を議論。水産業者の事業継続に全力を挙げる考えだ。
岸田文雄首相は会議の席上、「処理水の処分が完了するまで、(政府が)全責任を持って取り組む方針について何ら変わりなく堅持することを確認した」と説明。水産業のなりわい継続に向け、引き続き支援策を講じる考えを示した。その上で「秋に策定を目指す経済対策も含め、こうした対策を着実に実施し、全国の水産業支援に万全を期す」と強調した。
中国は昨年8月、処理水の海洋放出が始まった直後に禁輸措置を実施。日本側は「科学的根拠に基づかない」として、即時撤回を繰り返し求めているが、中国側は応じていない。
2023年の水産物の対中輸出額は、前年比29.9%減の610億円にとどまった。政府は代替となる販路の開拓を進めているが、まだ中国の穴を埋めることはできていない。
首相は今月24日、放出から1年を迎えたのに合わせて福島県を訪問し、漁業関係者と意見交換していた。
一方、東京電力ホールディングスの小早川智明社長は閣僚会議出席後に記者団の取材に応じ、処理水放出について「最後の一滴までしっかりと役割、責任を果たしていく」と述べた。廃炉に向けた核燃料(デブリ)の試験的取り出しの中断について斎藤健経済産業相から報告を求められており、「準備が整い次第報告に行く」と説明した。
[時事通信社]
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