電気ケトル、こぼれにくく=事故多発で基準変更、各社対応急ぐ
湯を瞬時に沸かす電気ケトル。今やキッチンに欠かすことができない調理家電の一つだが、子どもがぶつかって倒れ、やけどする事故が多発。湯がこぼれにくい構造にするよう製品に関する安全基準が見直され、メーカー各社が対応を急いでいる。
フランスの小型家電ブランド「ティファール」が販売する電気ケトルは、7月末時点で約4分の1が新安全基準に対応。未対応の製品は既に生産を終了しており、在庫がなくなり次第廃番になるという。アイリスオーヤマ(仙台市)は現在、取り扱っている9商品のうち1商品にのみ湯漏れ防止機能が付いているが、今後発売する商品にはこの機能を標準装備するとしている。雑貨ブランド「無印良品」の2商品は、いずれも新安全基準に対応済みだ。
タイガー魔法瓶(大阪府門真市)は9月1日発売の新商品に、「転倒お湯もれ新安全基準適合品」と書かれたシールを貼った。2008年の電気ケトル発売当初からこぼれにくい構造を採用しているが、改めて安全性を強調した形だ。製品担当者は「6歳以下の子どもがいる家庭へのアンケートで、電気ケトルに危険性を感じたことがある人が約3割もいた。便利だが、子どもにとっては危険もある製品だ」と話す。
電気ケトルの湯漏れに関する安全基準には経済産業省独自のものと国際規格に準拠したものがあり、メーカーはいずれかを選ぶ。国際規格準拠のものについては、対応するための猶予期間が今年7月で終了。8月以降は基準に適合しない電気ケトルの製造や輸入ができず、販売は在庫に限られる。経産省基準も26年6月以降は湯漏れ防止機能を付けることが必須となる。
消費者庁によると、17年までの約7年間で電気ケトルやポットによるやけどの情報は241件も寄せられた。大半が乳幼児で、ケトルのコードを引っ張って湯が飛び出した例などがある。
[時事通信社]
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