追加攻撃なら情勢悪化必至=イスラエル、ヒズボラともに強硬姿勢
【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザ情勢などを巡って対立するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルが25日、互いに相手に対し、昨年10月以来で最大規模となる攻撃に踏み切ったことを受け、争いが深刻化する懸念が出ている。双方とも追加攻撃の可能性を示唆しており、実際に行われれば、ただでさえ緊迫している中東情勢が一層悪化することは必至だ。
ヒズボラの攻撃は、7月の軍事部門最高幹部の殺害への報復として行われた。イスラエルメディアによると、ヒズボラ指導者のナスララ師は25日夜、報復が満足いくもので、「(攻撃は)終了した」と表明。ただ、「今後何が起こるか見てみよう」と追加攻撃を示唆したとも受け取れる発言を行った。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相も、同国軍が「ヒズボラのドローン攻撃を迎撃し、ヒズボラに壊滅的打撃を与えた」と戦果を誇示。「きょう起きたことは物語の終わりではない」とさらなる攻撃の可能性に言及した。報道によると、イスラエル軍は26日、レバノン南部を空爆。限定的な交戦は今後も続きそうだ。
米国家安全保障会議(NSC)報道官はバイデン大統領が「イスラエルとレバノンの情勢を注視している」と指摘。米政府として「地域の安定に向け、力を尽くす」と述べた。
オースティン米国防長官はイスラエルのガラント国防相と電話会談し、緊張回避の重要性について話し合った。イスラエルのカッツ外相も「全面戦争は望まない」としており、同国側は慎重に対応を見極める構えだ。
国際社会からは攻撃の応酬を懸念する声が相次ぐ。AFP通信によると、ヨルダンのサファディ外相は、「和平の機会を奪っている」として、ネタニヤフ氏とイスラエル政権幹部を止めるよう国連安保理に要請した。国連のグテレス事務総長も、市民を危険にさらすと懸念を表明し、即座の緊張緩和の必要性を訴えた。
[時事通信社]
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