ハリス氏、気候変動語らず=激戦州に配慮か、中間層支援を強調―米民主党大会
【シカゴ時事】米民主党大統領候補のハリス副大統領は22日の指名受諾演説で「力強い中間層は米国の成功に不可欠だ」と、支援強化の必要性を改めて訴えた。ただ、自身が関心を寄せる気候変動対策にはほとんど触れずじまい。エネルギー生産が盛んな激戦州に配慮したとの見方が多い。
演説では中間層向け減税のほか、住宅や食料品など生活コスト引き下げに取り組むと表明。強い中間層の構築が「目標」だと宣言した。しかし、環境問題に関しては「きれいな空気を吸い、きれいな水を飲み、気候変動危機を悪化させる汚染から解放される」ことの重要性を強調したものの、具体的な対策は明かさなかった。
ハリス氏は過去、カリフォルニア州司法長官として環境汚染などを巡り米石油大手の責任を追及。急進的な気候変動対策を支持したこともある。ただ、バイデン大統領から後継指名を受けてから約1カ月、気候変動問題についてはクリーンエネルギーへの投資拡大など、バイデン政権の実績を説明するにとどまっている。
背景として指摘されるのが、激戦州への配慮だ。大統領選の行方を左右する東部ペンシルベニア州は、全米2位の天然ガス生産量を誇る。民主、共和両党の支持率が伯仲する州北東部は、石炭の産地として栄えてきた地域で、化石燃料抑制を声高に叫べば「有権者を怒らせるリスクがある」(米紙ワシントン・ポスト)。
一方で、環境保護団体などからは支持が相次ぐ。複数の団体は今週、共同で5500万ドル(約80億円)を投じ、激戦州でハリス氏への投票を呼び掛ける広告を展開すると発表した。代表者は「クリーンエネルギーへの投資を継続し、気候変動対策を強化するだろう」と期待感を示す。
若い世代を中心に気候変動問題への関心は高く、ハリス氏は環境保護を求める支持者と、激戦州の有権者との間で板挟みになっている。
[時事通信社]
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