シナーは「無実の被害者」 コーチがドーピング問題に言及
【ニューヨークAFP=時事】男子テニス世界ランキング1位のヤニック・シナー(イタリア)が、禁止薬物に2度陽性反応を示しながら不正行為はなかったとされた件で、コーチのダレン・ケーヒル氏が、シナーは「根っこから誠実」で「無実の被害者」だと話した。≪写真は男子テニスのヤニック・シナーのコーチを務めるダレン・ケーヒル氏≫
テニスの不正監視団体ITIAは20日、3月に行われたBNPパリバ・オープンの大会中と大会後に実施された検査で、シナーの検体から微量のクロステボール代謝物が検出されていたことを発表。シナー側は、チームスタッフが指の傷の治療のために使っていたスプレーにクロステボールが含まれていたのが原因だと説明し、ITIAも「故意ではない」と判断した。
米スポーツ専門チャンネルESPNのテレビインタビューに出演したケーヒル氏は、問題のチームスタッフは理学療法士のジャコモ・ナルディ氏で、同氏はフィジカルトレーナーのウンベルト・フェラーラ氏から、医師の処方なしで購入できるスプレーを渡されていたと明かした。
ケーヒル氏は、シナーの体内にクロステボールが混入した過程は正確には不明だとしつつ、シナーが禁止薬物を使って優位に立とうとしたことは絶対にないと断言。
シナーについて「とにかく彼が素晴らしい子で、信じられないくらいプロフェッショナルだということを強調したい」「おそらく自分が今まで一緒に働いた中で、最もプロフェッショナルな若手だろう。彼が故意に何かをすることは決してあり得ない。今回はものすごく不運な状況にはまってしまった。真実が明らかになった通り、(シナーには)責任も過失もなかった」と話し、「彼がこのような目に遭うのは本当にかわいそうだ」と続けた。
また、この件が明らかになった3月以降、シナーが「コート上で肉体的にも精神的にも苦しんでいるのが見て取れる日があった」と明かし、「この期間で最も苦しんだのは彼」として、陽性が判明した後の大会でも結果を出したことに脱帽するとコメント。「彼はいい人間で、素晴らしい両親に育てられた。根っこから誠実で、それは彼のプレーからも明らかだ」「彼は無実の被害者の状況に置かれている」と強調した。【翻訳編集AFPBBNews】
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