政権交代へ何が必要か=立民代表選前に識者らに聞く(3)完
◇改憲論議ためらうな=輿石東・元参院副議長
―国政の現状をどう見ているか。
国民は今、政治とカネの問題で自公政権に非常に不満があるが、野党第1党の立憲民主党に(政権政党を)代えることには不安があり、いらいらしている。野党第1党には政権交代のため、野党が結束する道筋を主導的にまとめる責任がある。まず立民は目指す国家像を明確に打ち出すことが必要だ。そして野党を一つに束ねていく。党内ガバナンスの強化も求められる。原発や憲法、安全保障の問題も党内や野党同士で徹底的に議論すべきだ。
―立民は憲法改正に慎重だ。改憲に積極的な日本維新の会や国民民主党との隔たりは大きい。
立民は憲法を変えてはいけないというかたくなな姿勢ではなく、柔軟に対応すべきだ。例えば資源のないわが国は人材で生きなければならない。教育が大事だ。主張したいのは「義務教育を無償とする」と定めた憲法26条の「義務」を削除し、大学まで無償化することだ。財源として消費税率の1%引き上げを国民にお願いする。自公政権にできないものをぶつければ、もう一回、立民に政権を託してみようとならないか。憲法9条も1項は絶対に変えてはならないが、自衛隊明記の論点を含め、徹底的に議論したらいい。
―野党はまとまるか。
とことん話し合うことだ。政治には常にバランスと緊張感が必要だ。自民党の「一強多弱」の中、野党は政治勢力を結集させる動きをみんなで考えないといけない。少なくとも選挙協力はしようと(合意すべきだ)。顔合わせはするが、心合わせができないから、力合わせにつながらない。政権を取るという覚悟と執念を持つことだ。
―共産党との関係はどうすべきか。
共産は政権を一緒に担う対象にはならない。ただ、小選挙区で勝つには野党候補の一本化が必要で、候補者調整は大いにやらなければいけない。立民、共産とも政権交代を望んでいるのだから、その妨げにならないようしっかり話し合うことだ。
―岸田文雄首相が自民総裁選不出馬を表明した。
総裁選に埋没しないよう立民代表選にも多くの候補が出て、目指す政権構想、国家像を大いに議論してほしい。政治不信は頂点に達している。政権交代につながるよう、立民が新たな出発をしたと国民が受け止めるような代表選を望む。
[時事通信社]
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