中国のテニスブーム、鄭の五輪金メダルで加速
【北京AFP=時事】今夏のパリ五輪では、テニス女子シングルスで中国の鄭欽文が金メダルを獲得した。中国では近年、中流階級の間でテニスの人気が高まっているが、鄭の快挙でブームはさらに加速しそうな状況だ。≪写真は中国・北京のテニスクラブで練習する子どもたち≫
中国が五輪のテニスで金メダルを獲得するのは2回目で、シングルスでは初。21歳の鄭は自身と国にとって「誇らしい」瞬間だと優勝を喜んだ。
その後、AFPが取材に訪れた北京のテニスセンターはどこも子どもや大人でにぎわい、各クラブの関係者は、鄭が金メダルを取った後、テニスに興味を持つ人が一気に増えたと話している。
あるテニスクラブでは、10人ほどの子どもが並んでコーチのトスする球を打っていた。ここも鄭が金メダルを取ってから会員が2倍以上に増えたという。クラブ経営者は、「彼女はピラミッドの頂点で、あの優勝は絶大なインパクトがあった。おかげで今ではプレーしに来る人が増えている」と話し、「テニス界の一大ブームだ」と表現した。
テニスが中国へ持ち込まれたのは1860年代だが、一般に浸透することはなく、主に非常に裕福な選ばれた人たちのためのスポーツだった。政治が大きく混乱した文化大革命期には、修正主義者や小ブルジョワ階級の罪の表れとみなされることもあった。
それでも、ここ数十年で中産階級が急増し、経済と社会に大きな変化が起こったことで、テニスが広くたしなまれるようになった。2000年の中国の都市人口に占める中産階級の割合はわずか4パーセントだったと考えられるが、中流階級の数は今や公式の試算で4億人以上と、人口14億の30パーセント近くを占めている。あわせてテニス人口も2006年の200万人以下から、2021年には2000万人に迫るまで激増し、米国に次ぐ世界2位の規模に成長している。
賢い親たちにとって、テニスは以前から、国内外の激しい入試競争で子どもが抜きん出るため、あるいは子どもたち同士の友だち付き合いのための手段だった。
北京で10代の息子を育てるある母親は、「テニスの練習を通じて息子が精神的に強くなってくれれば」と語り、「中学校や、将来留学するときの出願で、テニスの技術がアピール材料になればと思っている」と話した。
こうした期待を持つ親は珍しくない。北京にテニスアカデミーを持つある女性経営者は、多くの親が明確な目的を持って子どもをレッスンに通わせていると指摘し、「彼らは自分の子どもに、小学生からテニスを始めさせたがっている。そうすれば米国の大学へ行ったときに、共通の趣味として友人づくりに役立つからだ」「卓球ではそうはいかない」と話している。【翻訳編集AFPBBNews】
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