コンビニATM、店舗外に拡大=地銀と共同運営、多機能化
コンビニATMの設置が本家のコンビニエンスストア以外の場所で増えている。金融機関が維持費削減や支店網再編でATMを減らしていることが背景。代替ニーズを捉え、地方銀行との共同運営機やスーパー、病院などへの設置が進み、現金を引き出すだけではない多機能化も進む。インフラとしてコンビニATMの存在感が高まりそうだ。
コンビニATM事業は、セブン銀行、ローソン銀行のほか、ファミリーマートに金融機関の共同機を置くイーネット(東京)などが展開している。
セブン銀は3月までに、福井銀行の支店外の約70台をセブン銀ATMで置き換え、共同運営化した。キャッシュレス決済アプリへの入金機能も備え、福井銀は「利便性の向上が期待できる」(担当者)とみている。
セブン銀は、こうした金融機関との共同運営機を今年度中に全国で500台規模に増やす計画だ。百五銀行、沖縄銀行、群馬県信用組合など一部の金融機関の支店では、ATMをセブン機で置き換えている。
ローソン銀も、広島銀行、きらぼし銀行などのATMの代替設置を進めている。スーパー、病院なども含め、コンビニ店舗外の設置は6月末で174台と、3月末の80台から倍増。車いす利用者が操作しやすいデザインの新型機の導入も始めた。
セブン銀は全国に約2万7400台、ローソン銀は約1万3600台のATMを保有。提携金融機関やキャッシュレス決済事業者から受け取る手数料収入は、いずれも過去4年間で1割強増えた。
イーネットは全国に約1万2000台を設置し、コンビニ店舗外ではショッピングセンターなどに進出している。4月から新機種の導入に着手しており、機能や操作性の競争も激しくなっている。
セブン銀は、ATMで提携先金融機関の口座開設などができるサービスも始め、既に東日本銀行をはじめ8行が導入した。8月には山形県の鶴岡市役所に設置したATMを行政手続きに活用する実証事業も始めた。セブン銀の松橋正明社長は「あらゆる業務を効率化することで社会に貢献できる」として、行政の窓口業務など金融の枠を超えたサービスをATMで代替する戦略を進める方針だ。
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