トランプ氏との違い強調=民主党綱領、「ハリス色」出ず―米
【シカゴ時事】米大統領選に向け、民主党が19日に採択した政策綱領は、共和党候補のトランプ前大統領(78)の名前が約150回も出てくるなど、同氏を批判して違いを際立たせている。民主党候補のハリス副大統領(59)の事実上の公約となるものだが、バイデン政権の主要政策を継続する内容で独自色は見られなかった。
党綱領は約90ページあり、前文で「トランプのビジョンは、機会や楽観主義ではなく、遺恨と報復に焦点を当てたものだ」と酷評。トランプ氏は個人や女性の自由を奪い、労働者の負担を増やし、社会保障を削減しようとしていると強く批判した。
一方、民主党の方針としては、「低所得者層の底上げや中間層の拡大」「製造業の復活とインフラ再構築への投資を加速」などバイデン政権の基本政策を列挙。気候変動対策も盛り込んだ。
若い世代が反発しているバイデン政権によるイスラエル支援を巡っては、「パレスチナ自治区ガザの停戦合意」の重要性を強調した。イスラエルとパレスチナの「2国家共存」や、ユダヤ人による入植地拡大への反対もうたった。ただ、対イスラエル武器禁輸には触れられていない。
大統領選の争点となっている人工妊娠中絶に関しては「憲法上の権利として法制化し、生殖に関する権利を回復させる」と明言。移民問題については、議会に対し「国境警備の強化、難民申請制度の改革、合法移民の受け入れ拡大」の法案化を求めていくとした。
党綱領の草案はバイデン大統領(81)が大統領選から撤退する前に、民主党全国大会の綱領委員会が承認した。このためバイデン政権の業績や「2期目」の計画に何度も言及し、党内の融和が優先された形となった。トランプ氏の陣営は、「カマラ(・ハリス)は自分がつくり出した危機の数々を解決するプランがない」と批判している。
[時事通信社]
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