2024-08-16 19:23World eye

AFPが選んだパリ五輪10大トピックス

【パリAFP=時事】11日に閉幕したパリ五輪では、色鮮やかだがときに物議を醸した開会式から、ボクサーの性別騒動、金メダリストに敬意を表する女子体操表彰式でのお辞儀まで、記憶に残る瞬間が多くみられた。ここではAFPがその中でも特に印象深い10個のトピックスを紹介する。≪写真は、パリ五輪のテニス男子シングルス決勝を制し、金メダル獲得を喜ぶセルビアのノバク・ジョコビッチ≫
 ■雨の開会式
 主催者がきらびやかな式典になると約束していた中、雨のセーヌ川を進むボートの行進で始まった開会式は、世界中で大きな話題になったが、それは期待していたような理由ではなかった。
 ドラァグクイーンや同性愛者のDJがイエス・キリストの「最後の晩餐」を思わせるポーズを取った場面が、宗教指導者やドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領から批判された。演出家は最後の晩餐を表現する意図はなかったと釈明したが、インターネット上で激しい中傷を浴びて警察に被害を訴え出る事態になった。
 ■ジョコビッチの雄たけび
 テニス男子シングルスでは、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)がカルロス・アルカラス(スペイン)との記憶に残る熱戦を制し、四大大会(グランドスラム)全制覇に五輪金メダルを加えた「生涯ゴールデンスラム」を達成した史上5人目の選手となった。
 優勝を決めると、ジョコビッチは会場に響き渡る雄たけびを上げ、涙を見せながらプレーヤーズボックスに上って妻と2人の子どもと抱き合った。
 試合後には「国を代表することほど意欲が湧くものはない」とコメント。一方で敗れたアルカラスは「国民を落胆させてしまった」と悔やんだ。
 ■バイルスが「女王」アンドラーデに敬礼
 体操女子では、大会を代表するスターとも言えるシモーネ・バイルス(米国)が、ゆかの表彰式で金メダルを獲得したレベッカ・アンドラーデ(ブラジル)に頭を垂れたことが大きな称賛を呼んだ。銀メダルのバイルスは「正しいことをしただけ」「レベッカは本当に見事だった。彼女が女王」とコメントした。
 またこの種目では、米国のジョーダン・チャイルズが採点の見直しを経て銅メダルで表彰台に上がっていたが、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が見直しは認めるべきではないと裁定した結果、ルーマニアのアナ・バルボスが銅メダルとなっている。
 ■大激戦制したライルズ
 陸上男子100メートルでは、世界王者ノア・ライルズ(米国)が9秒79で金メダルを獲得。銀メダルのキシェーン・トンプソン(ジャマイカ)とは1000分の5秒差という近代では最大の接戦で、写真判定による優勝だった。
 レースを終えたライルズは「自分が彼らの頂点に立つ男。オオカミの頂点に立つオオカミだ」とコメントした。
 ■パキスタン、やり投げで宿敵インドに勝利
 男子やり投げでは、パキスタンのアルシャド・ナディームが92メートル97の五輪新記録を出し、インドの前回王者ニーラジ・チョプラを上回ってパキスタン勢として夏季五輪で初となる個人種目の金メダルを獲得した。
 ナディームは「クリケットの試合でも他のスポーツでも、パキスタンとインドはライバル同士。だけど両国の若者がこのスポーツを見て、僕らを追ってくれたのはいいことだし、どちらの国にとっても明るい出来事だ」と語っている。
 ■南北選手の自撮りが話題に
 卓球混合ダブルスでは、表彰台で銀メダルの北朝鮮の選手と銅メダルの韓国の選手が一緒に自撮りする様子が韓国で拡散され、団結を示す貴重な瞬間だと評価された。
 韓国の林鍾勲がサムスン電子のスマートフォンで撮った写真では、韓国と北朝鮮の選手、さらには金メダルを獲得した中国の選手も笑顔を見せている。韓国紙の中央日報は「サムスンの電話で撮った、南北双方の国旗が写った写真」と伝えた。
 ■ドリームズ・カム・「トルー」
 スケートボード女子パークでは、14歳のアリサ・トルー(オーストラリア)が、観客も思わず立ち上がるほどの高難度の技を成功させ、オーストラリア史上最年少の五輪金メダリストになった。
 またこの種目には、中国のセイ・コウコウが同国史上最年少となる11歳で五輪に出場。それでもセイは「五輪のスケートボードと言っても、家の近くでやるのとそんなに変わらない。少し観客が多いだけ」と報道陣に語った。
 ■「いじめ」に勝った性別騒動ボクサー
 ボクシング女子では、性別騒動が大きな話題を呼んだイマン・ヘリフ(アルジェリア)と林郁?(台湾)が金メダルを獲得した。
 二人はどちらも女子世界選手権の性別検査で失格となったが、国際オリンピック委員会(IOC)によって今大会の出場を認められたことが大きな騒動になった。
 大会を終えたヘリフは、金メダルを獲得したのは「攻撃」と「いじめ」に対する完璧な対応だと語り、「私には出場資格が十分ある。私は女性だ。他の女性と何ら変わりはない。私は女性として生まれ、女性として生き、女性として競技してきた」と訴えた。
 ■五輪史に残る5連覇
 レスリング男子グレコローマンスタイル130キロ級で金メダルを獲得したキューバのミハイン・ロペスヌニェスは、史上初となる五輪の同一種目5連覇を達成し、カール・ルイス(米国)やマイケル・フェルプス(米国)といった五輪を象徴する選手を上回って大会の歴史に名を残した。
 まもなく42歳になるロペスヌニェスは引退の意思を示すべく、試合後にはマットの中央にレスリングシューズを置いた。
 ■「無課金おじさん」
 射撃混合10メートルエアピストルで銀メダルを獲得したトルコのユスフ・ディケッチは、競技中のカジュアルなスタイルで一夜にして話題になった。
 射撃競技では選手は通常、イヤーマフやシューティンググラス、帽子などの専用の装備を身に着けるが、ディケッチは普通の眼鏡をかけ、代表チームのTシャツを着て、左手をポケットにさりげなく入れるというポーズで目を引いた。【翻訳編集AFPBBNews】

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