「女性3割」未満なら反対=取締役議案賛否で数年内に基準―米系運用大手社長
米系運用大手JPモルガン・アセット・マネジメント(東京)の大越昇一社長はインタビューに応じ、投資先に対し取締役に占める女性比率を3割以上とするよう求めていく方針を明らかにした。株主総会で会社提案の取締役選任議案の賛否を判断する基準として数年以内に採用する考えで、「取締役会が(企業統治で)実効性を持つには多様性が不可欠だ」と強調した。
同社は日本株の運用規模が2兆円超(6月末時点)と外資系運用会社として最大規模で、日本企業の経営戦略にも影響力を持つ。今年の株主総会シーズンには、企業に「複数名の女性取締役」を求め、満たさない3割以上の会社の人事案に反対票を投じたという。大越氏は「議決権行使基準はだんだんと上げていく」と述べた。
女性役員比率を巡っては、政府も東証プライム市場の上場企業について、2030年までに3割以上に引き上げる目標を掲げている。
大越氏はまた、日本企業に特有の取引先企業などとの「株式持ち合い」にも「資本効率を下げやすい」と原則的に反対する方針を示した。投資先が継続する場合、経営トップや社外取締役にもその理由の説明を求めるなど厳しい姿勢で臨む考えで、「投資先との建設的な対話が価値向上の源泉になる」と訴えた。
大越氏は東証が昨年、企業に要請した「資本効率や株価を意識した経営」が企業の統治改革を後押していると指摘。「海外投資家はこれが実を伴う改革の呼び水となり、中長期的な株高として反映されることに期待している」と話した。
[時事通信社]
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