プロが感じた五輪の価値=原点回帰、賞金を超越―パリ五輪
五輪の理念であった「アマチュアリズム」。1974年に五輪憲章からアマ規定が削除され、「参加することに意義がある」との考えが薄れる中、パリ五輪はトッププロが賞金を超えた価値を強調する大会になった。
プロツアーの制度が根付いている個人競技のテニスとゴルフは、年間4大会(女子ゴルフは5大会)のメジャーが最高峰。その栄誉と高額賞金が目標になる一方、五輪では賞金がない。世界ランキングのポイントも、ゴルフはメジャーに比べて大幅に少なく、テニスでは全く得られない。
ツアーを優先し、資格があっても出ない選手は少なくないが、国を代表して戦ったプロは五輪の重みを口にした。ゴルフ男子で優勝したシェフラー(米国)は表彰式で流れた国歌に涙した。「米国人であることを誇りに思う」と繰り返し、「間違いなく、キャリアを振り返った時に特別な思い出になる」。マスターズ・トーナメント2勝の世界ランキング1位が感激する姿は印象的だった。
ゴルフで日本男子初の表彰台となる銅メダルを獲得した松山英樹は、公の場ではあまり見せないような破顔。次回のロサンゼルス五輪について、「今年(ツアー大会で)勝ったコース。ロスには知り合いが多いので、その意味でも絶対に出たい」と強い希望を口にした。
ゴルフ女子で3大会連続のメダルを手にしたコー(ニュージーランド)は「信じられないような経験をした。五輪は子どもたちにとっての夢になる」と言った。
テニス男子では、ジョコビッチ(セルビア)が5度目の出場で初めての金。四大大会通算24勝、国別対抗戦のデビス杯でも優勝経験があるベテランは悲願のタイトルをつかみ、「自分にとって一番の成功」と言い切った。
スポーツをなりわいとするプロが、純粋に技や体力を競い合い、観衆を興奮させる五輪の舞台。その魅力を感じ、それぞれの思いを披露した。 (時事)
[時事通信社]
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