復活の土俵、万感の思い=炎鵬「想像できない未来を」―大相撲
万感の思いだった。脊髄損傷の大けがにより、大相撲で7場所連続で休場し、序ノ口に転落した元幕内炎鵬が7月の名古屋場所で復帰。「相撲は楽しい。土俵に上がれる喜びは何ものにも代えがたい」。かみしめるように言った。
2日目の1番相撲は緊張のあまりに落としたが、そこから6連勝。久々の白星に「勝つのはうれしいこと」と相好を崩した。再起を待ちわびていたファンが朝早くから訪れ、声援を受けた。「全てが喜び。皆さんの期待を超えたい」と意欲的だ。
医師から相撲を諦めることも勧められた。日常生活もままならない寝たきりの日々。壮絶なリハビリを振り返り、涙ながらに「言葉がない」と声を絞り出した。不安も大きかった名古屋場所は「相撲に全てを懸ける」との決意で立ち向かった。
昨年の秋場所前に稽古を再開した際は「無理だ」との声も耳にした。入門時には100キロに満たないほど細かった体。「当時も、無理と散々言われた。そういう意見を驚きや喜ぶ声に変えようと頑張ってきた」。自身に対する否定的な見方を原動力に歩んできた力士人生だ。
復活に向け、新たな一歩を踏み出した。「これからが本当の厳しい道。自分でもどうなっていくか分からない。自分で切り開いて、誰も想像できないような未来をつくりたい」。小兵の業師。真摯(しんし)に稽古に励む29歳が、再び土俵を盛り上げようとしている。
[時事通信社]
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