1億人の「光」に=最多37人が奮闘、初メダルも―難民選手団・パリ五輪
パリ五輪では難民選手団の活躍がこれまで以上に印象的だった。初めて結成された2016年リオデジャネイロ五輪では10人、前回の東京五輪は29人が参加。今回は最多の37人がフランスの地を踏み、勇敢に戦い続けた。
これまでは「難民選手」という存在自体にフォーカスされることが多かったが、今回は結果でも注目を浴びた。陸上男子5000メートル決勝では南スーダン出身のロバルが銅メダルまであと一歩の力走を見せた。
輝きを放ったのはボクシング女子75キロ級のヌガンバ。難民選手団で初のメダルとなる銅を獲得し、「今までの努力のたまもの」と感慨を込めた。カメルーン出身で幼少期に英国へ移住。滞在を続けるため毎週のように書類にサインを求められ、収容所に連行されたこともある。力強いメッセージでも人々の心に訴え掛けた。
悲痛な思いで舞台に立つ者もいた。ブレイキン女子に出場したアフガニスタン出身のタラシュは母国で殺害予告を受け、スペインへの亡命を経て五輪にたどり着いた。ダンスを披露後に「アフガンの女性を解放しろ」と記したケープを掲出して失格となった。政治的な宣伝活動を禁止する五輪憲章に触れた形だが、女性の音楽観賞やダンスを禁止する母国の現状に強く異を唱えた。
世界に1億人以上いるとされる難民。ヌガンバはこう言う。「彼らは、いつこの世の終わりを迎えてもおかしくないと感じている。自分が光になりたい」。紛争、抑圧、差別や迫害。想像を絶する困難を乗り越えて戦う姿は、確かな足跡として刻まれた。 (時事)
[時事通信社]
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