論争招いたボクシング性別問題=IOCとIBA、確執が背景―パリ五輪〔五輪〕
パリ五輪のボクシング女子は、性別問題を巡る論争を招いた。66キロ級のイマネ・ヘリフ(アルジェリア)と57キロ級の林郁※(※女ヘンに亭)(台湾)は、国際ボクシング協会(IBA)が管轄した昨年の世界選手権で、性別検査により失格となった。国際オリンピック委員会(IOC)は2人の五輪参加を認め、ともに金メダルを獲得。騒動の背景には、IOCとIBAの長年にわたる確執がある。
ヘリフは優勝後に訴えた。「私は他の女性と同じ。女性として生まれ、女性として生き、女性として戦ってきた」。SNSなどで「トランスジェンダー」と誤った情報を拡散され、誹謗(ひぼう)中傷を受けてフランス捜査当局に告訴した。
IBAは、検査結果は「2人が男性だと示している」と主張。IOCは過去の五輪と同じ基準で出場を容認したとし、IBAの検査の信頼性に疑問を呈した。2人は東京五輪にも出場した。
IOCは不明朗な組織運営などの問題で2019年からIBAに資格停止処分を科し、統括競技団体としての承認を昨年取り消した。IBA会長でロシア人実業家のクレムレフ氏はプーチン大統領と近い関係にあり、国営企業ガスプロムから資金を得ているとされる。ロシアのウクライナ侵攻開始後、IOCとIBAの溝はさらに深まった。
パリ五輪のボクシングはIOCの管轄下で実施。28年ロサンゼルス五輪での実施判断は保留中で、25年に決定する予定だ。IOCは新たな国際統括団体の設置を条件として求めている。
性別を巡る問題は複雑で、簡単に明確な答えは出せない。ジェンダー平等や多様性を掲げた今大会で、その事実が改めて浮き彫りとなった。 (時事)
[時事通信社]
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